5. 年金だけで生活できる人は少ない?高齢者世帯の暮らしの実態
そもそもの年金額に個人差がある上、年金生活者支援給付金が受け取れる人、受け取れない人がいることがわかりました。
生活費も世帯によって異なることから、年金だけで生活できるかどうかも一概にはいえないでしょう。
例えば、厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」という資料では、公的年金・恩給だけで100%生活できている高齢者世帯は41.7%であると示しています。
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%:41.7%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が80%~100%未満:17.9%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が60~80%未満:13.9%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満:13.2%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~60%未満:9.3%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満:4.0%
つまり、約6割の高齢者世帯が、年金収入だけで生活できていないことになります。
年金だけに頼るのではなく、それぞれが老後資金を考えておく必要があるといえるでしょう。
6. まとめにかえて
年金額や高齢者世帯の暮らしの実態を紹介してきました。
もし年金の見込額を知りたいという場合は、ねんきん定期便やねんきんネットを活用してみましょう。
一番手軽なのは、毎年の誕生月に送られてくるねんきん定期便を見ることです。
ただし、不確定の情報も多いため、現時点での金額しか記載されていません。
できればねんきんネットや厚生労働省が運営する年金シミュレーターなどを活用し、「もし年収が〇〇円になれば」「もし独立して厚生年金を脱退したら」など、さまざまなキャリアを想定して試算してみてください。
年金がもっと身近に感じられ、将来のことを考えるきっかけになりやすいでしょう。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金制度について」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金の概要」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
- 日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求される方の請求手続きの流れ」
- 厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」
太田 彩子