2025年3月11に総務省統計局が「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」を公表しました。
 
この調査結果によれば、ひと月あたりの消費支出は65歳以上の夫婦のみの無職世帯で25万6521円。65歳以上の単身無職世帯では14万9286円となっています。

昨今は、物価高の影響で生活費の負担が増えたという方も多く、家計のやり繰りに悩むという方も少なくないです。

筆者が前職の金融機関でお客様の資産運用に関する相談を受けていた時も、家計が少し厳しいという方は多いものでした。

特に、年金で生活を送っている方からは「年金だけでは預金を取り崩さないと生活が厳しい。運用して少しでもお金を増やせないか?」と相談に来られる方は多かったです。

確かに、年金生活と言えば「受け取れる金額が少なすぎて年金だけで生活をするのは難しい」というイメージを持たれている方も少なくないでしょう。

今回は、今のシニア世代の「貯蓄・家計収支・年金」事情に迫ります。

1. 【65歳以上の無職世帯】 気になるみんなの貯蓄額

総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)」によると、2023年時点の65歳以上の無職世帯の平均貯蓄額は、2504万円でした。2018年から2023年までの推移は以下の通りです。

1.1 2018年から2023年までの平均貯蓄額の推移

  • 2018年:2233万円
  • 2019年:2218万円
  • 2020年:2292万円
  • 2021年:2342万円
  • 2022年:2359万円
  • 2023年:2504万円

65歳以上無職世帯の平均貯蓄額は、2018年から2020年まで2200万円台で推移していましたが、2021年から増加傾向に転じ、2023年には2500万円台となりました。

その背景には、少子高齢化による年金不安や、老後資金の準備を意識する人が増えたことが挙げられます。また、コロナ禍における消費の抑制も、貯蓄の増加に少なからず関係しているでしょう。

さらに、2023年には貯蓄全体に占める有価証券の割合が前年より2.2ポイント上昇し、金額ベースでは400万円から480万円へと増加しました。

これは金融市場の好調な推移が運用結果に反映されたことに加え、税制優遇制度のNISAが後押しとなった可能性が高いと考えられるでしょう。

次は勤労世帯も含む、65歳以上全体の貯蓄事情についても見ていきます。