ここ数年で会員数が爆増しているコンビニジム「chocoZAP」。少し前まで品質に対して不満の声を聞くことも多かったですが、直近ではさまざまな取り組みにより環境が大幅に改善しているようです。
具体的にどのように改善しているのか。2025年3月期第3四半期決算資料(以下、最新決算資料)にもとづくRIZAP側の最新動向と、店舗の品質維持に貢献している「フレンドリー会員」に取材し、実態を調査しました。
1. 【chocoZAPの最新事情】会員数・店舗数ともに伸長
22年7月にサービスがローンチされたchocoZAPですが、25年2月14日時点の会員数は133万人を超えており、フィットネスジムの会員数として日本最大規模にまで成長しています。
店舗数も伸び続けており、同時点で1787店舗が稼働しています。全47都道府県への出店も24年5月に完了しており、日本のどこに住んでいてもchocoZAPが使えるという環境が整いつつあります。
最新決算資料によると、23年6月末時点の地方店舗は全体の20.1%でしたが、24年12月末時点では27.4%に増加。これまでchocoZAPが使えていなかった層にリーチする地方出店の加速により、会員数もまだまだ伸びることが予想されます。
2. 【chocoZAPの最新事情】24年度は品質向上に重点を置いた1年に
飛ぶ鳥を落とす勢いで成長を続けてきたchocoZAPですが、新業態ゆえの問題も抱えていました。それが、店舗の品質維持です。
月額2980円(税別)というリーズナブルな価格は無人店舗という形態によって実現されているもの。したがって店舗の清掃やマシンのメンテナンスに対しては、ユーザーから少なからず不満の声が挙がっていました。
同社は24年度を「品質向上に重点を置いた1年にする」と宣言し、200億円という大規模な投資によって急ピッチで改善を進めました。
3. 【chocoZAPの最新事情】「品質向上」のための施策とは
では、具体的に品質向上のためにどのような取り組みを実施したのでしょうか。同社がもっとも大きな問題と捉えている問題が「マシンの故障や不具合の発生」です。
マシンのトラブルはイコール、ユーザーがそのサービスを利用できないことを意味します。また安全に大きく関わる要素でもあるため、故障が多いとそれだけ会員の不安にもつながります。スピードだけでなく、確実性も含めて改善が求められていました。
同社はサービス開始時から対策をとってきましたが、前例がない業態であることや会員数・店舗数の急拡大から、想定外の問題も発生していました。最新の取り組みは、こうした問題にも対応できるように設計されています。
現在、行われている具体的な施策は以下の通り。
- (1)マシンを改良
- 自社開発のマシンをより故障しにくく、より修理しやすいものに改良
- (2)導入時の検品を徹底
- 電圧テスト・稼働テスト・騒音テストを全台で実施
- 負荷走行テスト、150kg 負荷走行時の電圧テスト、過電圧・低電圧テストなどもロットごとに実施
- (3)スピーディな故障検知を実現するデジタルツールを導入
- マシンごとにQRコードを設置し、ユーザーが故障を報告しやすい仕組みを整える
- (4)故障状況を見える化
- Webサイトでマシンの故障件数や対応状況を可視化
- (5)修理対応を迅速化
- 故障対応が誰でもできるシステムを構築
- 店舗の近隣に住む社員が故障対応する一時的な緊急対応を実施
- (6)セルフメンテナンス会員の募集・実施
- 店舗運営をサポートする会員を一般会員から募集
4. 【chocoZAPの最新事情】サポート会員は日本全国で約3万人以上
多数ある施策の中でも、独自性が高いのが「フレンドリー会員の募集・実施」です。フレンドリー会員は、店舗の掃除や備品補充などをサポートする代わりに月額料金を割引する認定制の制度で、25年1月時点で約3万人以上が登録しています。
また、不具合対応やメンテナンス活動を行う「セルフメンテナンス会員」という認定制の制度もあり、そちらは同時点で6000人以上が登録しています。対応できるレベルによって3段階に分かれており、タスクは誰でもできる簡単なものから、修理の知識や技能も求められるものまであるそうです。
ユニークな制度ですが、類似例が少ないため、どのようなものなのか気になっている方も多いでしょう。今回は実態を把握するため、24年8月からフレンドリー会員として活動している南雲彩加さん(35歳)に取材し、現場の声を聞いてみました。
5. 【chocoZAPの最新事情】フレンドリー会員の実態を調査!
南雲さんがchocoZAPを始めたのは、23年9月。数年前まで一般的なジムに通っていたそうですが、結婚・引越しを機に退会。以降ジムには通っていませんでしたが、chocoZAPがCMで発信していた「5分で入会手続きができる」「入館して5秒でトレーニングが開始できる」といったメッセージに興味を惹かれ、久しぶりに通ってみることにしたそうです。
「価格がリーズナブルなこと、どこの店舗に行っても良いという部分にも惹かれました。入会初日はひとりで店舗に行きましたが、マシンの横に書かれたガイダンスなどに従って、なんの問題もなくトレーニングを行うことができました」(南雲さん)
フレンドリー会員になったのは約1年後の24年8月。以前から気になっていたところ、そのタイミングで募集がかかり、応募したそうです。
フレンドリー会員の活動内容は、清掃(フロア、エステ・脱毛などの美容系マシン、トレーニングマシン、洗面台、トイレ)、備品補充、ごみ捨てなど。タスクはチケットA、チケットB…といった形で分けられており、店舗ごと・時間帯ごとに発行されたチケットを取得し、活動することができます。
南雲さんは主に入口やロッカーなどを掃除するチケットを取得しているといいます。人気のチケットは取り合いになることも。目当てのチケットがないときは、近くの店舗の状況を確認することもあるそうです。
6. 【chocoZAPの最新事情】トレーニングのモチベーションにも影響
会員特典である割引は、月に何度行くかによって金額が変わります。これはトレーニングのモチベーションにもつながっているようで、南雲さんは「フレンドリー会員になる前は月に4回程度だったが、現在は月に12回は通っている」と話します。
かける時間はそこまで長くなく、南雲さんの場合は「掃除が10〜15分くらい。そのあとで45分くらいトレーニングをして帰ります。だいたいの場合、滞在時間は60分以内」とのことです。
頻繁に通っているからこそ、「入会したばかりのときは頻繁に故障中などの紙が貼られていたが、最近はそういうことも減り、あってもすぐに改善されるようになった」と直近の店舗の変化も実感しているようです。
最新決算資料では、24年11月時点で6.1%だったフィットネスマシンの故障率が、25年2月14日には1.7%まで低下しており、サポート会員の努力をはじめ、さまざまな取り組みが数字にしっかり表れていることが分かりました。
7. 【chocoZAPの最新事情】フレンドリー会員がサステナブルな運営に貢献
フレンドリー会員はヘビーユーザーにとってお得でユニークな制度ですが、あくまでおまけ要素として捉えている方が多いかと思います。しかし、実は同サービスの戦略を考える上で、フレンドリー会員は非常に重要な要素です。
ヒントとなるのが、冒頭で最新決算資料から引用した「地方出店の加速」です。現在、全国展開する大手チェーンでは人手不足から地方出店のハードルは上がっていますが、chocoZAPは順調に店舗数を拡大しています。
これはフレンドリー会員を店舗運営の担い手として計算できることが大きな役割を果たしています。実はchocoZAPは撤退店舗が少ないという隠れた特徴もあり、ハイレベルなサステナブルな運営体制を確立しています。こうした戦略は人手不足解決や事業継続を考える上で、業種を問わず参考になりそうです。







