2025年度は年金額の引き上げが決定していますが、物価上昇率を下回るため実質的には目減りとなります。食品や生活必需品などの値上げが続く中、どうやりくりしていくか計画を練っている人も多いのではないでしょうか。

なかには年金受給額が少なく、生活に困窮している人もいるでしょう。現役の頃からなかなか保険料を納められなかったり、働く期間が少ないまま老後を迎えたりした人は、月に数万円程度の年金で暮らしていかなければなりません。

生活の苦しさから、生活保護の受給を検討した人もいるのではないでしょうか。この記事では、年金受給者の生活保護について、受給額や支給要件を解説します。

1. 生活保護の要件や支給金額を解説

生活保護は、生活に困窮する人を対象に扶助での保護を行い「健康で文化的な最低限度の生活」を保障して自立を支援する制度です。生活保護を受けられるのは、以下の4点を満たしたうえでなお生活に困窮している人です。

生活保護受給の要件

生活保護受給の要件

出所:厚生労働省「生活保護制度」をもとに筆者作成

  • 資産の活用:預貯金や生活に利用されていない土地・家屋などがあれば売却して生活費に充てること。
  • 能力の活用:働ける場合は、能力に応じて労働すること。
  • あらゆるものの活用:年金や手当など他の制度で給付を受けられる際は、それらを優先して活用すること。
  • 扶養義務者の扶養:親族などから援助を受けられる際は、援助を受けること。それでもなお収入が最低生活費に満たない場合は、保護を適用する。

生活保護を受けるには、基本的にすべての資産を売却して生活費に充てなければなりません。また、働けるのであれば労働して給与収入を得る必要があります。

もし年金や手当などで収入を得られるのであれば、まずはその収入で生活を営みましょう。また、親族から金銭援助を受けられるなら、保護よりも援助を最優先で受けましょう。

すべて活用したうえでもなお最低限度の生活を営めない場合に、はじめて保護費が支給されます。

保護費は、厚生労働大臣定める基準に基づき計算した「最低生活費」から、現在の収入額を差し引いた金額です。

最低生活費は、各扶助の基準額の合計となっています。扶助の種類について、次章で解説します。