3. 年金がいくらだと生活保護の対象になる?
年金受給者が受けられる生活保護の扶助金額は、住んでいる場所や世帯構成、年金収入によって変わります。そのため、一定の金額がボーダーラインになっているわけではありません。
65歳以上の単身世帯で東京23区に住む人を例に、保護の対象となる目安の金額を算出してみましょう。ほとんどの保護対象者が受ける扶助として「生活扶助」と「住宅扶助」があります。生活扶助は居住地の級地によって金額が異なります。東京23区の場合は1級地-1に該当するため、単身世帯の場合は7万4250円の扶助を受けられます。
1級地の住宅扶助は5万3700円のため、扶助額は合計で12万7950円です。よって、年金受給額がおよそ13万円までであれば、生活保護を受給できます。
23区以外の地域では生活扶助の金額がやや下がるため、おおむね10〜13万円程度であれば生活保護を受給できる可能性があるとおさえておくとよいでしょう。
3.1 生活保護受給者の多くは年金受給者
生活保護受給者の年齢層を見てみると、年金受給者の割合が多くなっています。
- 総数:199万2820人
- 0~19歳:16万5008人
- 20~29歳:5万9481人
- 30~39歳:9万5196人
- 40~49歳:17万460人
- 50~59歳:29万4396人
- 60~64歳:16万849人
- 65~69歳:17万1697人
- 70歳以上:87万5733人
- (再掲)65歳以上:104万7430人
65歳以上の受給者は104万7430人と、総数199万2820人のうち52.6%を占めています。年金受給者の半数が生活保護を受給していると考えてよいでしょう。
生活保護は国民の権利です。生活が苦しい人は「年金を受け取っているのに生活保護なんて」とためらわず、一度自治体や福祉事務所に相談してみましょう。
しかし、生活保護は制約が多いもの。できれば生活保護を受けずになんとか生活をやりくりしたいと考えている人もいるでしょう。次章では、年金受給額が少ない人に対する給付金について解説します。