2025年1月、厚生労働省は2025年度の年金額を1.9%引き上げると公表しました。

年金額が増額となるのはありがたいことですが、実は「実質的には目減り」とも考えられるのです。

今回は最新年金額を解説するとともに、低所得の年金生活者が対象となる「年金生活者支援給付金」について解説します。

1. 【2025年度】年金額は1.9%アップ…でも《実質目減り》の理由

2025年1月、厚生労働省は2025年度(令和7年度)の年金額を、前年度より1.9%引き上げることを公表しました。

3年連続のプラス改定にはなりましたが、「マクロ経済スライド(※)」によって物価上昇率を下回る改定率となっており、実質的には年金額は目減りしています。物価上昇に年金額が追い付けていないのです。

※マクロ経済スライドとは:「公的年金被保険者(年金保険料を払う現役世代の数)の変動」と「平均余命の伸び」に基づいて設定される「スライド調整率」を用いて、その分を賃金と物価の変動がプラスとなる場合に改定率から控除するしくみ

1.1 厚生年金でも「低年金」になる可能性はある

厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、国民年金と国民年金の受給状況を見てみましょう。グラフの受給額分布から、個人差や男女差に着目してください。

国民年金・厚生年金の年金月額

厚生年金の平均額(全年齢)

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

 

 

【国民年金】平均年金月額

  • 〈全体〉平均年金月額:5万7584円
  • 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万5777円

【厚生年金】平均年金月額

※国民年金部分を含む

  • 〈全体〉平均年金月額:14万6429円
  • 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
  • 〈女性〉平均年金月額:10万7200円

国民年金の場合、全体、男女ともに平均月額は5万円台です。厚生年金の平均月額は全体で14万円台でした。男女別にみると男性は16万円台、女性は10万円台です。

ただし上記はあくまでもそれぞれの平均額。グラフが示す通り、国民年金の受給権者だけではなく、厚生年金の受給権者の中にも、月額5万円未満となるような低年金の人が一定数存在します。

年金とその他の所得を含めても、一定基準以下の低所得となる場合「年金生活者支援給付金」の支給対象となるかもしれません。この制度について、次で詳しく見ていきます。