2. 「会社員の夫と専業主婦の妻」のモデルは時代にそぐわない?

厚生労働省が例として示している厚生年金の年金額は、「標準的な老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金の給付水準」としていることから、会社員の夫と専業主婦の妻をモデルとしていることがわかります。

内閣府男女共同参画局「男女共同参画白書 令和6年版」から、共働き世帯数と専業主婦世帯数の推移をみてみると、2023年の統計では、共働き世帯1206万世帯に対し、専業主婦世帯は404万世帯で、共働き世帯が専業主婦世帯の約3倍となっています。

共働き世帯数と専業主婦世帯数の推移

共働き世帯数と専業主婦世帯数の推移

出所:内閣府男女共同参画局「男女共同参画白書 令和6年版 全体版」

1985年の統計と比べると共働き世帯は1.7倍程度に増えており、専業主婦世帯は半分以下に減っています。こうしたことから、「会社員の夫と専業主婦の妻」のモデルは時代にそぐわなくなってきているといえるでしょう。

当然、こうした問題は年金部会でも議論されていて、令和6年財政検証に基づき、将来の年金額をイメージできる年金額の示し方として、経歴別・男女別に提示しています。これを踏まえて、令和7年度の年金額改定のお知らせには、「多様なライフコースに応じた年金額」が示されています。