1.2 現役世代の賃金を考慮した改定
もう1つの改定基準が、現役世代の賃金変動率による改定です。働き手全体の賃金平均が上昇している場合には、年金受給者も同じように上昇をすることで、従来の生活の水準を保つことができると考えられます。そのため、「実質賃金変動率」を基準とした年金額の改定が計算されます。
68歳までの年金受給者は、原則としてこの賃金変動率による改定が行われますが、先ほど説明した物価変動率の上昇率が賃金上昇率よりも低い場合には、物価上昇率が使用されます。
1.3 年金財政のバランスを保つための調整(マクロ経済スライド)
そして、上記の2つにより計算された改定率から、調整を加えるのがマクロ経済スライド制度です。
少子高齢化が進むと、年金を受け取る人が増える一方で、国民年金・厚生年金に加入して保険料を負担する現役世代の人が減ることになります。
年金制度は、現役世代の納付保険料により賄っているため、保険料を負担する世代に過度な負担とならないように年金財政のバランスを保つため、実際の物価や賃金上昇率により算定された年金改定率から、一定割合を調整する場合があります。これを、マクロ経済スライド制度と呼びます。