1月24日に厚生労働省から2025年度の年金額の引き上げが発表されました。2025年度の年金額は2024年度から1.9%増額となります。
年金の増額は年金受給者にとって喜ばしいことですが、実は実際の物価上昇率がそのまま年金額の増加に反映されているわけではないことをご存知でしょうか。
今回は、2025年度の年金額について解説をした上で、年金額が増額したのに実質は目減りしていると言われる原因を解説します。ぜひ参考にしてください。
1. 年金改定率の決定方法
老後の生活を支える年金額は、前年の物価変動率と賃金変動率などを基準に、毎年4月分から改定率が計算されます。しかし、その変動が急激となると、年金制度を支える現役世代の保険料の額が上がることになり、負担が増加します。
負担が急激に増加することを避けて年金制度を健全に存続させるため、年金の変更率を調整する「マクロ経済スライド」という制度があります。
ここからは、年金額改定の仕組みとマクロ経済スライドについて詳しく解説します。
1.1 物価上昇率に合わせた改定
年金額がもしもずっと変わらない場合、現在のように世の中の物価が上がり、生活費が増えた時に、買えるものが少なくなるため生活が立ち行かなくなることになります。
そこで、年金収入によって生活をしている年金受給者が、これまでと同じ生活レベルを維持できるよう、年金額を改定する仕組みがあります。
68歳以上の既裁定者は、原則として物価上昇率による改定が行われますが、次に説明する賃金変動率の上昇率が物価上昇率よりも低い場合には、賃金上昇率が使用されます。