3.2 【一覧表】60歳~90歳代以上《国民年金・厚生年金》全体・男女別の平均はいくら?
国民年金
- 全体 5万7584円
- 男性 5万9965円
- 女性 5万5777円
厚生年金
※国民年金部分を含む
- 全体 14万6429円
- 男性 16万6606円
- 女性 10万7200円
国民年金のみを受給する場合、全体、男女別ともに平均月額は5万円台です。一方、厚生年金を受給する場合、国民年金部分を含めた平均月額は全体で14万円台です。
一般的には、厚生年金を受け取る人は、国民年金のみを受給する場合と比べて手厚い受給額となります。ただし男性16万円台、女性は10万円台と男女差が大きいです。また厚生年金を受け取るどうしでも、大きな個人差がある点にも留意が必要です。
老後の受給額には、それまでの年金加入状況が反映されます。ご自身の年金見込み額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で把握しておきましょう。
4. 年金額増えても実質目減り。シニアの3割が「年金だけでは日常生活費もまかなえない」現実
公的年金は賃金や物価を考慮して年度ごとに見直しがおこなわれます。
2025年1月、厚生労働省は2025年度(令和7年度)の年金額が前年度より1.9%引き上げられることを公表しました。3年連続のプラス改定にはなりましたが、「マクロ経済スライド」によって物価上昇率を下回る改定率となっており、実質的には年金額は目減りしています。
なお、金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査 2024」では、60歳代・70歳代の二人以上世帯の60歳代の32.6%、70歳代の30.6%が「日常生活費程度もまかなうのが難しい」と答えています。
また、年金にゆとりがないと感じる理由として、下記のような理由が上位に挙がりました。
- 物価上昇で支出が増えると見込んでいるから:60歳代63.3%・70歳代62.8%
- 医療費負担の増加:60歳代28.3%:70歳代34.8%
- 介護費負担の増加:60歳代18.1%・70歳代26.4%
また、介護保険料や後期高齢者医療制度の保険料なども引き上げ傾向が続いています。年金受給者の多くは、こうした社会保険料や税金を老齢年金からの天引きで納めています。いずれも生涯にわたり納付が必要となるため、シニア世代の負担感が増すことも懸念されるでしょう。
5. 年金は手取りも試算を。公的年金以外の備えも考えよう
年金は老後の生活になくてはならない収入源です。
まずはねんきんネットで自身の受給予定額を確認しましょう。
ねんきんネットであれば、条件にあわせたシミュレーションも可能です。現役時代の働き方や収入が老後の年金額に影響を与えますから、早くから確認して老後の年金についても考えることは大切です。
また、年金だけで老後の生活が安心できるという世帯は残念ながら少ないでしょう。
では、老後の生活を少しでも豊かにするためにはどうしたらいいか。
それは現役時代の時にどれだけ準備できたかにかかっているといっても過言ではないしょう。
例えば受け取れる年金を増やすこと。自営業やフリーランスの方は、国民年金の付加保険料を支払うことで、将来の受給額を増やせます。
国民年金基金への加入で増やすこともできるでしょう(付加年金と国民年金基金の併用不可)。
また、国民年金のみの方が、厚生年金に加入する働き方に切り替えることも一つの方法です。
すぐには難しくとも現代は長く働き続ける可能性もありますから、長期的な目線でキャリアを考えるといいでしょう。
他にも自分でなく、資産運用をしてお金に働いてもらうことも、リスクはありますが人生100年時代では選択肢の一つです。
ご自身に最適な老後の備えを考えましょう。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
大庭 新太朗