3. やむを得ない事情で「故人の口座からお金を引き出したい」場合は?
リスクを理解したうえで、どうしても「故人の口座からお金を引き出さなければならない」という場合も考えられます。
そのような状況では、「預貯金の払い戻し制度」を活用することを検討するのが賢明です。
3.1 絶対に知っておきたい「預貯金の払い戻し制度」とは?
「預貯金の払い戻し制度」とは、遺産分割が終わっていなくても、故人の預貯金を一部払い戻せる制度です。
「預貯金の払い戻し制度」を利用することで、相続人は遺産分割協議が完了していない段階でも、故人の預貯金の一部を引き出すことができます。
【払い戻しができる金額】
- 相続開始時の預金額 × 1/3 × 払戻しを行う相続人の法定相続分
ただし、この制度を利用して引き出せる金額は、1つの金融機関につき最大150万円となっています。
「預貯金の払い戻し制度」を利用する際の手続きは、金融機関によって異なるため、詳細を知りたい場合は、各金融機関に直接確認することをおすすめします。
4. まとめにかえて
本記事では相続時の銀行預金の取り扱いについて解説しました。スムーズに手続きを進めるためには、事前の準備と正しい知識が欠かせません。
相続は家族間の大切な問題であり、話し合いを避けてしまうと後々トラブルにつながることもあります。相続人同士で事前に情報を共有しておくことが、円満な相続への第一歩となるでしょう。
また、相続手続きの流れや最新の制度を理解しておくことも重要です。今後、預貯金払戻し制度などの変更が行われる可能性もあるため、最新情報をチェックするようにしましょう。
不明点があれば、まずは預けている金融機関に相談するのが安心です。正しい情報をもとに適切な対応を取れるよう、早めの準備を心がけましょう。
参考資料
野平 大樹