4月は新年度がスタートし、生活環境に変化があった方もいらっしゃるかもしれません。

公的年金を受給している方にとって、年金は日々の暮らしを支える大切な収入源です。実は、その年金に加えて給付金を受け取れる「年金生活者支援給付金」という制度があることをご存じでしょうか。

この制度は、所得が一定の基準を下回る方の生活を支援することを目的としています。

この記事では、年金生活者支援給付金の制度内容や、ご自身が対象になるかの確認方法、具体的な給付額、手続きの流れについて、一つひとつ丁寧に解説していきます。

知っているかどうかで受け取れる金額が変わる重要な制度です。ぜひ最後までお読みいただき、ご自身の状況と照らし合わせてみてください。

1. 「年金生活者支援給付金」とは?知っておきたい3つの種類と制度の概要

年金生活者支援給付金は、公的年金を受け取っている方々の生活を支援する目的で、2019年に開始された制度です。

この制度では、支給の条件を満たした方へ、2カ月に1度、公的年金の支給日と同じ日に給付金が支給されます。

年金生活者支援給付金制度について1/10

年金生活者支援給付金制度について

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」

年金生活者支援給付金には3つの種類があり、受給している基礎年金の種類に応じて「老齢年金生活者支援給付金」「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」に分類されます。

いずれの給付金も、定められた所得などの要件を満たす基礎年金の受給者が対象となります。

2. 【種類別】年金生活者支援給付金の支給要件をわかりやすく解説

基礎年金を受給している方で、年金を含む収入や所得の合計額が一定の基準を下回る場合、「年金生活者支援給付金」の対象となる可能性があります。

ここでは、3つの種類ごとに具体的な支給要件を詳しく見ていきましょう。

2.1 老齢年金生活者支援給付金の対象となる方の支給条件

老齢年金生活者支援給付金の支給要件2/10

支給要件

出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」

老齢年金生活者支援給付金を受け取るには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 65歳以上で、老齢基礎年金を受給していること
  • 同一世帯の全員が、市町村民税非課税であること
  • 前年の公的年金などの収入金額(※1)と、それ以外の所得との合計額が、昭和31年4月2日以降に生まれた方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれた方は80万6700円以下であること(※2)

※1 障害年金や遺族年金などの非課税収入は、ここでの収入金額には含まれません。
※2 昭和31年4月2日以降生まれの方で合計額が80万9000円を超え90万9000円以下の場合、また昭和31年4月1日以前生まれの方で合計額が80万6700円を超え90万6700円以下の場合は、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

2.2 障害年金生活者支援給付金の対象となる方の支給条件

障害基礎年金を受給されている方へ3/10

障害基礎年金を受給されている方へ

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」

障害年金生活者支援給付金は、次の2つの支給要件を両方満たす場合に受け取ることが可能です。

  • 障害基礎年金を受給していること
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下であること(扶養親族の人数によって基準額は上がります)

※ 障害年金といった非課税収入は、ここでの所得には含まれません。

2.3 遺族年金生活者支援給付金の対象となる方の支給条件

遺族基礎年金を受給されている方へ4/10

遺族基礎年金を受給されている方へ

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」

遺族年金生活者支援給付金は、下記の支給要件をすべて満たす方が対象となります。

  • 遺族基礎年金を受給していること
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下であること(扶養親族の人数によって基準額は上がります)

※ 遺族年金などの非課税収入は、ここでの所得には含まれません。

3. 年金生活者支援給付金はいくら?2025年3月時点の平均月額を解説

厚生労働省が公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に、実際に支給されている年金生活者支援給付金の平均月額を確認してみましょう。

2025年3月時点のデータでは、平均給付月額(※)は老齢年金生活者支援給付金で4146円、障害年金生活者支援給付金で5727円、遺族年金生活者支援給付金で5228円です。

※2025年3月時点で認定されている方の平均給付額です。

さらに、年齢階層別の平均額も見ていきましょう。

3.1 【年齢階層別】老齢年金生活者支援給付金の平均給付額

  • 70歳未満:4905円(43万9628件)
  • 70~74歳:4374円(56万1362件)
  • 75~79歳:4092円(85万9446件)
  • 80~84歳:3936円(95万453件)
  • 85~89歳:3989円(82万8270件)
  • 90歳以上:4045円(86万5282件)

3.2 【年齢階層別】障害年金生活者支援給付金の平均給付額

  • 30歳未満:5692円(26万6276件)
  • 30~39歳:5668円(31万6202件)
  • 40~49歳:5655円(37万1772件)
  • 50~59歳:5671円(46万8876件)
  • 60~69歳:5749円(38万4626件)
  • 70~79歳:5880円(26万4423件)
  • 80歳以上:6033円(10万4991件)

3.3 【年齢階層別】遺族年金生活者支援給付金の平均給付額

  • 20歳未満:4190円(5687件)
  • 20~29歳:5310円(529件)
  • 30~39歳:5310円(7881件)
  • 40~49歳:5310円(3万4072件)
  • 50~59歳:5310円(2万7828件)
  • 60歳以上:5310円(1710件)

4. 【手続き方法】年金生活者支援給付金を受け取るための申請フロー

ここでは、年金生活者支援給付金を受け取るために必要な手続きについて解説します。

すでに公的年金を受け取っている方で、新たに給付金の支給対象者となった場合には、日本年金機構から請求に関する案内が送付されます。

4.1 すでに基礎年金を受給している方の手続き

  • 毎年9月の第1営業日以降に、「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送されます。
  • 2025年1月以降に65歳に到達し、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が送付された方は、電子申請も利用できます。
  • 電子申請をしない場合は、請求書へ必要事項を記入し、切手を貼付して郵送で提出します。

なお、支給要件に該当するか確認ができない方には、「年金生活者支援給付金請求書(A4型)」と所得情報を確認するための「所得状況届」が送られます。

次に、これから年金の請求手続きを行う方の流れを見ていきましょう。

4.2 これから老齢基礎年金を請求する方の手続き

老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ9/10

老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ

出所:日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ」

  • 65歳になる3カ月前に送られてくる「年金請求書(事前送付用)」の中に、給付金の請求書も同封されています。
  • 必要事項を記入したら、年金の受給を開始する年齢の誕生日前日以降に、年金請求書と一緒に年金事務所へ提出してください。

※障害年金または遺族年金生活者支援給付金の対象となる方で、初めて基礎年金を請求する場合は、給付金の請求書は自動で送付されません。年金の請求とあわせて、ご自身で年金事務所や市区町村の窓口で給付金の請求手続きをする必要があります。

4.3 給付金の支給日はいつ?

年金生活者支援給付金は、公的年金と同様に偶数月の15日に支給されます。15日が土日や祝日の場合は、その直前の金融機関営業日に前倒しで支給される仕組みです。

例えば、2月に支給されるのは、前年12月分と1月分の2カ月分となります。

年金を受け取っている口座と同じ口座へ支給されますが、通帳には年金とは別に記帳される点に注意しましょう。

5. 年金だけで生活する高齢者世帯の割合は?国民生活基礎調査から見る実態

公的年金の収入のみで生活している高齢者世帯は、どのくらいの割合なのでしょうか。

厚生労働省の「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、高齢者世帯のうち、総所得に占める公的年金・恩給の割合が100%の世帯は43.4%にのぼります。

高齢者世帯の総所得に占める「公的年金・恩給」の割合別世帯構成10/10

高齢者世帯の総所得に占める「公的年金・恩給」の割合別世帯構成

出所:厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」II 各種世帯の所得等の状況

  • 公的年金・恩給が総所得に占める割合が100%の世帯:43.4%
  • 公的年金・恩給が総所得に占める割合が80~100%未満の世帯:16.4%
  • 公的年金・恩給が総所得に占める割合が60~80%未満の世帯:15.2%
  • 公的年金・恩給が総所得に占める割合が40~60%未満の世帯:12.9%
  • 公的年金・恩給が総所得に占める割合が20~40%未満の世帯:8.2%
  • 公的年金・恩給が総所得に占める割合が20%未満の世帯:4.0%

この結果は、半数を超える56.6%の高齢者世帯が、公的年金や恩給以外にも収入源を持ち、生活費をまかなっている実態を示しています。

公的年金だけで生活を維持するのが難しいケースも考えられるため、早めに老後の生活設計を立てておくことが大切といえるでしょう。

6. まとめ

この記事では、年金生活者支援給付金について、制度の概要から対象者の条件、具体的な給付額、申請方法までを詳しく解説しました。

ご自身の状況が支給要件に当てはまるかどうか、再確認するきっかけになれば幸いです。

この給付金は自動で支給されるものではなく、基本的には日本年金機構から送付される請求書を提出して手続きを行う必要があります。

大切な案内を見落とさないように、日頃から郵便物をチェックする習慣をつけておくと安心です。

公的年金だけでは生活が心もとないと感じる方もいるかもしれません。このような支援制度を正しく理解して活用することが、安心した暮らしにつながります。

今後の生活設計を考えるうえで、ぜひ本記事の内容を参考にしてみてください。

※当記事は再編集記事です。

参考資料

マネー編集部年金班