「富裕層」と聞くと、どこか自分とは縁遠い世界の話だと感じる人も多いのではないでしょうか。
しかし、野村総合研究所の最新の推計によると、純金融資産1億円以上を保有する「富裕層」「超富裕層」の世帯数は、ここ数年で増加しています。
しかも、その背景には、株価上昇などによって自分では意識しないうちに資産が1億円を超えてしまう「いつの間にか富裕層」という、新しいタイプの存在も指摘されています。
本記事では、日本に富裕層・超富裕層がどのくらいいるのかを最新データで確認します。
また、お金持ちとそうでない人にはどのような違いがあるのか、元証券マンである筆者が解説します。
なお、富裕層・超富裕層の世帯数や純金融資産総額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。
1. この記事の3つのポイント
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富裕層・超富裕層は2023年時点で165万3000世帯、2年間で11.3%増加 -
純金融資産の保有額により5つの階層に分類され、富裕層は1億円以上5億円未満 -
資産を築いている人に共通するのは「増やす」より「管理」を重視する姿勢
2. 2年で11.3%増加。富裕層の「増え方」を分析
まずは、日本の富裕層・超富裕層が、どのくらいのスピードで増えているのかを確認してみましょう。
野村総合研究所が2025年2月に公表した最新の推計によると、純金融資産1億円以上5億円未満の「富裕層」と、5億円以上の「超富裕層」を合わせた世帯数は、2023年時点で165万3000世帯です。
前回調査(2021年時点)の148万5000世帯から、11.3%の増加となっています。
この「2年間で11.3%増加」という数字を、もう少し具体的なイメージに変換してみましょう。
2021年から2023年までの増加世帯数は、単純計算で16万8000世帯です。これを2年間(730日)で割ると、1日あたり約230世帯のペースで、新たに富裕層・超富裕層の仲間入りをしている世帯が生まれていた、という計算になります。
また、純金融資産の総額も、2021年の364兆円から2023年には469兆円へと、28.8%増加しています。
こうした増加の背景として、株価上昇などによって自分では意識しないうちに純金融資産が1億円を超えてしまう「いつの間にか富裕層」という層の存在が指摘されています。
この「いつの間にか富裕層」は、富裕層以上の世帯全体のうち、1〜2割程度を占めると推定されており、165万3000世帯という数字のうち、単純計算で16万〜33万世帯程度が、こうした層である可能性があるということです。
つまり、富裕層の増加は、必ずしも「本人が強く意識して資産形成に取り組んだ結果」だけで説明できるものではなく、一定数は市場環境の変化によって、結果的に基準を超えた世帯である可能性がある、という点は押さえておきたいポイントです。
3. そもそも富裕層の定義は?
野村総合研究所は、世帯として保有する金融資産の合計額から、住宅ローンなどの借入(負債)を差し引いた「純金融資産保有額」をもとに、総世帯を以下の5つの階層に分類しています。
- マス層:3000万円未満
- アッパーマス層:3000万円以上5000万円未満
- 準富裕層:5000万円以上1億円未満
- 富裕層:1億円以上5億円未満
- 超富裕層:5億円以上
つまり、一般的に「富裕層」と呼ばれるのは、純金融資産保有額が1億円以上5億円未満の世帯、「超富裕層」はそれを上回る5億円以上の世帯を指します。
3.1 日本の富裕層は全体の約2.75%、超富裕層は約0.21%
野村総合研究所の推計によると、2023年時点の富裕層・超富裕層の世帯数と、純金融資産総額は以下のとおりです。
- 富裕層(1億円以上5億円未満):153万5000世帯、純金融資産総額334兆円
- 超富裕層(5億円以上):11万8000世帯、純金融資産総額135兆円
- 合計:165万3000世帯、純金融資産総額469兆円
2023年時点の富裕層・超富裕層の世帯数は、この推計を開始した2005年以降で最多となっています。
日本の総世帯数(約5400万世帯)に対する割合で見ると、富裕層・超富裕層は全体のおよそ3%程度にとどまりますが、世帯数・資産総額ともに、右肩上がりの傾向が続いています。
3.2 富裕層・超富裕層は増加傾向に
先ほど確認したとおり、富裕層・超富裕層の世帯数は、2021年から2023年にかけて11.3%増加しました。
この増加は決して一時的なものではなく、長期的なトレンドの延長線上にあります。野村総合研究所が2005年から2年ごとに実施している推計結果を見ると、以下のように推移しています。
富裕層・超富裕層の世帯数および純金融資産額2/2
出所:株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」(2025年2月13日)
- 2005年:86万5000世帯・213兆円
- 2007年:90万3000世帯・254兆円
- 2009年:84万5000世帯・195兆円
- 2011年:81万世帯・188兆円
- 2013年:100万7000世帯・241兆円
- 2015年:121万7000世帯・272兆円
- 2017年:126万7000世帯・299兆円
- 2019年:132万7000世帯・333兆円
- 2021年:148万5000世帯・364兆円
- 2023年:165万3000世帯・469兆円
この推移を見ると、2009年・2011年にはリーマンショックの影響で世帯数・資産総額がいったん減少している一方、2013年以降は一貫して増加を続けていることが分かります。
この2013年という節目は、いわゆる「アベノミクス」による株価上昇が始まった時期と重なります。
増加の主な要因としては、以下の点が挙げられます。
①株価上昇による資産価値の増加
一例を挙げると、東証株価指数(TOPIX)は、2017年12月末の1818から2023年末には2366まで、約30%上昇しました。株式や投資信託などのリスク性資産を持つ富裕層・超富裕層ほど、この株価上昇の恩恵を大きく受けたと考えられます。円安の進行により、外貨建て資産の円換算価値が上昇したことも、資産増加を後押ししたとみられます。
②相続・贈与による資産の世代交代
相続の増加に伴い、準富裕層以上の資産を相続する人が増えていることも、要因の一つとして指摘されています。相続や贈与によって、それまで準富裕層だった世帯が、富裕層の基準を超えるケースが増えていると考えられます。
③都市部を中心とした不動産価格の上昇
純金融資産保有額の算出には不動産の評価額そのものは含まれませんが、不動産を売却・整理した際の資金が金融資産に流れ込むケースや、不動産価格の上昇によって相続時の資産評価額全体が押し上げられるケースも、間接的な要因として考えられます。
なお、この2023年時点のデータが、現時点で公表されている最新の推計です。
2024年以降も日本の株式市場は総じて上昇基調を続けており、2023年末の水準から大きく上昇しています。
NISA制度の拡充による投資家層の広がりも踏まえると、次回(2025年時点)の推計が公表された際には、富裕層・超富裕層の世帯数・資産総額が、さらに増加している可能性が高いと考えられます。


