朝晩の冷え込みに、本格的な秋の訪れを感じる10月。この時期は年金支給月でもあり、老後の生活を支える年金への関心が高まりますよね。

先日の自民党総裁選挙では、初の女性総裁として高市早苗氏が選出されました。新総裁は「多くの不安を希望に変える」と決意を表明しており、年金制度の持続可能性や受給水準の向上に、どのような政策を打ち出すのか注目が集まっています。

最新データによると、厚生年金の平均月額は14万円台ですが、物価高騰が続く中で生活費として十分なのか、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。今回は、厚生労働省の調査結果をもとに、日本の年金制度の仕組みと、60歳から90歳代のリアルな平均年金月額について、詳しく解説します。

1. 国民年金・厚生年金、2階建て構造で成り立つ

公的年金は「2階建て構造」などと表現されます。

これは、1階部分にあたる「国民年金(基礎年金)」、2階部分にあたる「厚生年金」から成り立つためです。

1.1 《1階部分》国民年金

  • 加入対象者:原則として日本に住む20歳以上から60歳未満の全員
  • 年金保険料:全員一律、ただし年度ごとに改定あり(2025年度月額:1万7510円)
  • 受給額:保険料を40年間欠かさず納付すれば満額(2025年度月額:6万9308円)

1.2 《2階部分》厚生年金 ※国民年金に上乗せで加入

  • 加入対象者:会社員や公務員、またパートなどで特定適用事業所(※1)に働き一定要件を満たした人
  • 年金保険料:収入に応じて(上限あり)変わる(※2)
  • 受給額:加入期間や納めた保険料により個人差あり

※1 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※2 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される

国民年金には、日本国内に住む20歳以上60歳未満の全員が原則加入し、一律の年金保険料を納めます。

一方で厚生年金は、会社員や公務員などが国民年金に上乗せして加入し、収入に応じた年金保険料を納めるしくみです。