2. 【シニア全体】老後に受け取れる平均年金月額を確認

前章で解説した2025年度の年金額例は、「国民年金を満額受給する場合」および「モデル夫婦2人分の年金額」を基にしたものです。

しかし、実際にはすべての受給者が国民年金を満額受け取れるわけではありません。

また、厚生年金も現役時代の収入や保険料を納付した期間によって支給額が変動するため、「標準的な夫婦モデル」の条件を満たさなければ、「23万2784円(2人分)」を受け取ることはできません。

つまり、老後に受け取れる年金額は個人の状況によって大きく異なるという点を理解しておく必要があります。

では、現在のシニア世代が受け取っている年金の平均額はどのくらいなのでしょうか。

本章では、シニア全体における「厚生年金と国民年金」の平均受給額について詳しく確認していきます。

2.1 【国民年金】シニア全体の「平均受給額」と「受給額ごとの人数」

厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金の平均受給額と受給額ごとの人数は以下のとおりです。

国民年金:老齢年金月額階級ごとの受給権者数

国民年金:老齢年金月額階級ごとの受給権者数

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

【国民年金の平均受給額】

  • 〈全体〉平均年金月額:5万7584円
  • 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万5777円

【国民年金の受給額ごとの人数】

  • 1万円未満:5万8811人
  • 1万円以上~2万円未満:24万5852人
  • 2万円以上~3万円未満:78万8047人
  • 3万円以上~4万円未満:236万5373人
  • 4万円以上~5万円未満:431万5062人
  • 5万円以上~6万円未満:743万2768人
  • 6万円以上~7万円未満:1597万6775人
  • 7万円以上~:227万3098人

国民年金は保険料が一律であるため、受給額に大きな個人差や性別差は生じにくい仕組みになっています。

国民年金の受給額のボリュームゾーンは6〜7万円で、多くの人が満額に近い金額を受け取っている状況です。

しかし、国民年金の受給額ごとの人数をみると、すべての人が満額に近い金額を受け取れているわけではない現状もみてとれます。