1月24日、厚生労働省から2025年度の年金額が公表されました。2025年度の年金は1.9%の増額で3年度連続プラス改定となっています。
老後、安心して暮らすために、年金は欠かせない存在です。しかし、将来の年金がどうなるのか、不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
日本の公的年金制度は、現役世代が支払う保険料を高齢者の年金給付に充てる仕組みですが、少子高齢化の影響で将来の年金額が減ってしまう可能性も否定できません。
そこで今回は、70歳代のひとり世帯を例に、現在の貯蓄額や年金受給額など、具体的な数字を交えながら、老後のお金について考えてみたいと思います。
1. 約30年で約2倍に!?「70歳代・おひとりさま世帯」は年々増加傾向に
厚生労働省「2023年 国民生活基礎調査の概況」によると、65歳以上のいる世帯は2695万1000世帯で、全世帯の50.6%を占める結果となりました。
2023年における、65歳以上の世帯構造は下記のとおりです。
- 夫婦のみの世帯: 863万5000世帯(65 歳以上の者のいる世帯の 32.0%)
- 単独世帯:855万3000世帯(同 31.7%)
- 親と未婚の子のみの世帯:543万2000世帯(同 20.2%)
1986年以降のデータを見てみると、かつて多かった「三世代世帯」は大幅に減少し、2023年には7.0%にまで低下しました。
現在では「夫婦世帯」と「単身世帯」がほぼ同じ割合を占め、いずれも約3分の1を占めています。
このように、65歳以上の世帯構造は三世代から夫婦や単独世帯へと変化し、それに伴いライフスタイルや家計の状況も変わっています。
次章では、70歳代・おひとりさま世帯の貯蓄状況について見ていきましょう。
2. 【70歳代・おひとりさま世帯】貯蓄ゼロの割合は?貯蓄の平均・中央値の差も大きい
70歳代・おひとりさま世帯の貯蓄事情について、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」を参考に確認していきます。
※金額等は執筆時点での情報にもとづいています。
※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
2.1 【70歳代・おひとりさま世帯の貯蓄額】平均と中央値
- 平均:1529万円
- 中央値:500万円
2.2 【70歳代・おひとりさま世帯の貯蓄額】金額階層別の世帯割合
- 金融資産非保有:26.7%
- 100万円未満:5.8%
- 100~200万円未満:4.3%
- 200~300万円未満:4.1%
- 300~400万円未満:3.3%
- 400~500万円未満:2.5%
- 500~700万円未満:6.6%
- 700~1000万円未満:5.1%
- 1000~1500万円未満:8.6%
- 1500~2000万円未満:5.3%
- 2000~3000万円未満:8.2%
- 3000万円以上:17.3%
70歳代の単身世帯の平均貯蓄額は1500万円を超えていますが、実際の貯蓄額を示す中央値は500万円となり、平均と中央値の間には約1000万円の差が見られます。
これは、貯蓄額に大きな個人差があることを示しています。貯蓄額の分布を見ると、約4分の1の世帯が貯蓄ゼロである一方、貯蓄額が2000万円以上の世帯も同じく4分の1を占めています。
しかし、老後の生活費を支えるための資金は貯蓄だけではなく、主な収入源となる「公的年金」の存在も大きな要素です。
それでは、老後の生活における公的年金の平均受給額を見ていきましょう。
3. 【厚生年金と国民年金】現シニアの平均月額はいくら?
厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に、現代シニアの平均的な年金額を見ていきましょう。
3.1 国民年金(老齢基礎年金)の平均年金月額
- 〈全体〉平均年金月額:5万7584円
- 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
- 〈女性〉平均年金月額:5万5777円
3.2 厚生年金の平均年金月額
- 〈全体〉平均年金月額:14万6429円
- 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
- 〈女性〉平均年金月額:10万7200円
※国民年金部分を含む
現代のシニア層における平均的な年金額は、国民年金が5万円台、厚生年金が14万円台となっています。
ただし、年金額には大きな個人差があり、特に厚生年金は「現役時代の働き方」や「加入期間」が大きな影響を与えます。
現役時代には意識しにくいかもしれませんが、現在の働き方が将来の公的年金に影響を及ぼすことを頭に入れておくことが大切です。
また、老後の年金受給額を現役時代に把握しておくことで、計画的な老後の準備ができます。
毎年送られてくる「ねんきん定期便」やインターネットから確認できる「ねんきんネット」を活用して、自分の年金状況を詳しく確認しておきましょう。
さらに、年金額は毎年改定されるため、少子高齢化が進む中で将来的に年金受給額が減少するリスクも考慮する必要があります。
そのため、将来の年金受給額が減少する可能性を視野に入れ、老後の生活設計をすることが重要です。
4. 年金支給日は「2ヶ月に1回」!計画的な資金管理をしておこう
老後の生活計画を立てるうえで重要なのは、年金の支給が「偶数月の2ヶ月に1回」という点です。
公的年金は多くのシニアにとって生活費の重要な柱となりますが、支給は2ヶ月ごとであるため、計画的なやりくりが求められます。
また、老後も税金や社会保険料の支払いが続くため、家計の収支シミュレーションを行う際には、これらの支出も考慮した生活設計が必要です。
しっかりとした計画を立てることで、安心して老後生活を送るための土台を作ることができるでしょう。
5. まとめにかえて
今回は70歳代のおひとりさま世帯の貯蓄額や年金について、詳しく見てきました。
年金だけでは生活が難しいと感じる場合は、iDeCoやNISAなど、税制優遇のある制度を活用した資産運用が考えられます。ただし、資産運用は元本が保証されているものではないため、損失が出るリスクがあることを理解しておきましょう。
老後資金の準備は、早ければ早いほど有利です。ご自身の資産や老後の収入を把握し、将来必要な資金を算出してみましょう。その上で、リスク許容度を考慮しながら、最適な投資プランを立てていくことが大切です。
ご自身のペースで、無理のない範囲から始めてみましょう。
参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」
- 厚生労働省「2023年 国民生活基礎調査の概況」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
中本 智恵
