2. 亡くなった人の口座から預金を引き出すのはNG?

大切な方が亡くなると、その直後からさまざまなお金の問題が生じることは意外と知られていません。

故人がお世話になった医療機関への支払い、お葬式・お墓の費用、各種手続きに要する費用や交通費など、大きな出費から、こまごました出費まで入れると、数か月の間に数百万円が必要になることもあります。

故人の口座にある程度のお金があれば、そこから工面したい気持ちになりますが、被相続人の資産を勝手に引き出してしまうとトラブルに発展する可能性があります。

では、どのような問題が起こる可能性があるのでしょうか。具体的に確認していきましょう。

2.1 家族間・親戚間でトラブルが発生する

本来、相続発生時は、遺言書があれば遺言書に従って、あるいは相続人の間で遺産分割の協議をおこなうなどして、資産の分割をおこないます。

このプロセスを経ず、他の相続人の意思を確認しないまま、勝手にお金を移動させたりすると、相続人の間でトラブルに発展することもあります。

これは生前のお金の移動も同様です。被相続人の口座を生前から管理していた場合、口座残高の多寡がトラブルの要因になることもあります。

高齢の親などの口座管理をする場合、何にいくら支出したかを記録に残しておけば、無用のトラブルを避けることができます。

2.2 相続放棄ができなくなる可能性がある

故人が亡くなって相続するのは資産ばかりではなく、負債も合わせて相続することになります。できれば負債は相続したくないとお考えの場合は、被相続人の口座からお金を引き出すことには注意が必要です。

被相続人の口座からお金を引き出す行為が、単純承認とみなされれば、資産も負債も相続することになってしまいます。

単純承認とは全てを相続することで、限定相続(プラスの財産の範囲内で負債も相続する)や相続放棄を選ぶことができなくなるかもしれません。