少子高齢化が進む日本では、相続をめぐる問題がたびたびクローズアップされます。
死後の整理が相続人の負担にならないように、エンディングノートに必要なことを書き残したり、遺言信託を活用する人もいらっしゃいますね。
とりわけ、相続が発生した直後に起こりやすいトラブルとしては、銀行口座の凍結です。故人の口座からお金が引き出せなくなるという話は、聞いたことがある方も多いかもしれません。
そこで今回の記事では、銀行口座の名義人が死亡した場合、口座はどのような扱いになるのか、口座から預金を引き出したいときはどうすればよいかについて解説します。
相続に関する基本的な事項を覚えておけば、いざというときに慌てることなく対処できます。さっそくみていきましょう。
1. 「役所に死亡届を出すと銀行口座が凍結される」って本当?
銀行口座の名義人が亡くなった場合、亡くなられた方(被相続人)の家族や後見人は、すみやかに銀行にその旨を届けなければなりません。相続の発生により、故人の資産は相続人全員の共有財産になるからです。
そのため、相続人同士でどのように資産を分けるかが決まっていないうちは、誰もその資産を勝手に引き出したりすることはできなくなります。公共料金などの支払いを口座振替にしている場合、これらも振替不能になります。
また、とくに年配者に多いのですが、同一銀行内に支店の異なる口座を複数保有している場合、これらの口座も全て取引が停止されます。
銀行としては、被相続人の銀行口座取引を速やかに停止することで、無用なトラブルを避けるための措置を講じているともいえます。
ただし、これは口座名義人が死亡したという旨を銀行に知らせた場合です。役所に死亡届を出したからといって、銀行口座が凍結されることは、まずありません。