4. 高年収ほど「リスク性資産」の割合が高め
ここからは、2024年12月、J-FLEC(金融経済教育推進機構)が公表した「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」の結果から、世帯年収ごとの金融資産内訳に関するデータを見ていきます。
4.1 種類別金融商品保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
金融資産保有額:全国: 1374万円
- 収入はない: 249万円
- 300万円未満: 661万円
- 300~500万円未満: 1065万円
- 500~750万円未満: 1233万円
- 750~1000万円未満: 1939万円
- 1000~1200万円未満: 2069万円
- 1200万円以上: 4178万円
- 無回答: -
預貯金(運用または将来の備え):全国: 582万円
- 収入はない: 154万円
- 300万円未満: 322万円
- 300~500万円未満: 446万円
- 500~750万円未満: 533万円
- 750~1000万円未満: 750万円
- 1000~1200万円未満: 821万円
- 1200万円以上: 1781万円
- 無回答: -
株式:全国: 260万円
- 収入はない: 15万円
- 300万円未満: 111万円
- 300~500万円未満: 237万円
- 500~750万円未満: 219万円
- 750~1000万円未満: 348万円
- 1000~1200万円未満: 311万円
- 1200万円以上: 872万円
- 無回答: -
投資信託:全国: 155万円
- 収入はない: 41万円
- 300万円未満: 65万円
- 300~500万円未満: 103万円
- 500~750万円未満: 109万円
- 750~1000万円未満: 300万円
- 1000~1200万円未満: 340万円
- 1200万円以上: 437万円
- 無回答: -
株式の平均保有額は、年収1000~1200万円未満の世帯で311万円、1200万円以上の世帯で872万円となっており、投資信託もそれぞれ340万円、437万円と、他の年収層と比べて高い水準です。
金融資産全体に占める割合も大きいことも特徴的です。こうしたデータからも、年収1000万円以上の高収入世帯は、預貯金よりも株式や投資信託などのリスク資産により、資産を育てる工夫をしている傾向が強いことがうかがえます。
5. ふつうの世帯も意識しておきたい《資産を育てるための、お金の置き場所》
今回は「富裕層」に関する最新調査結果を眺めてきました。元金融機関職員である筆者が今までお会いした富裕層のみなさんの共通点は、やはり「お金を守る術を身につけている」というところです。
低金利やインフレのリスクが高まるいま、標準的な収入の世帯にとっても、資産をどのように守っていくかを意識することも大切となるでしょう。
漠然と預貯金として保有するだけではなく、余剰資金があれば一部をリスク性資産に振り分けてみるなどの工夫ができると良いですね。
「お金の置き場所」を上手に選んでいくことで、資産を守りながら効率よく育てることに繋げていきましょう。