今年の3月で定年退職を迎える人も多いでしょう。65歳で定年退職する人は、そのまま年金生活に入るほか、引き続き働き続ける人もいるのではないでしょうか。
働きながら年金を受給する際に気をつけたいのが「在職老齢年金制度」です。制度を理解しておかないと、支給される年金が減ってしまい損してしまいます。
この記事では、在職老齢年金の概要や課題、今後の動向について解説します。将来働きながら年金を受給したいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
1. 在職老齢年金制度の概要
在職老齢年金とは、70歳未満で厚生年金保険に加入している人や、70歳以上で厚生年金保険の適用事業所に勤めている人の「給与・賞与額」と「年金受給額」の合計が一定額を超えた際に、年金の一部または全額が支給停止となる措置です。
2024年度は給与・賞与収入と年金の合計額が50万円超の場合、年金の支給停止措置の対象となります。計算方法は以下のとおりです。
- 調整後の年金支給月額=基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-50万円)÷2
※基本月額:加給年金額を除いた老齢厚生年金の受給額
※総報酬月額相当額:(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12
たとえば、年金月額が18万円、総報酬月額相当額が36万円の場合、計算結果は以下のようになります。
18万円-(18万円+36万円-50万円)÷2=16万円
よって、本来受け取れる年金2万円が支給停止となります。