地方公務員の給与は、人事院勧告をもとに、国家公務員や民間企業の給与動向も踏まえながら決められています。公務員は安定した給与が魅力ですが、自治体によって給料は異なります。
公務員の給与を確かめるうえでチェックしておきたいのが「ラスパイレス指数」です。ラスパイレス指数については、総務省の調査で公表されています。ラスパイレス指数が高いのはどの自治体なのでしょうか。そもそも、ラスパイレス指数とはなんでしょうか。
この記事では、地方自治体のラスパイレス指数について解説します。上位の自治体や数値の見方などを紹介します。
1. 地方公務員の「ラスパイレス指数」とは?
ラスパイレス指数とは、すべての地方公共団体の一般行政職の給料月額を同じ基準で比較するための指数です。国家公務員の一般行政職の給与を規定した「俸給表」の月額を100とした場合に、地方公務員の月額給料がどれくらいかを示しています。
指数が100より低ければ国家公務員の一般行政職よりもやや少ない給料、100を上回ると多くの給料を受け取っていることになります。なお、手当については指数計算の対象外です。
ラスパイレス指数を公表しているのは、総務省の「地方公務員給与実態調査結果」です。都道府県、政令指定都市、市区町村とさまざまな単位別に指数を公表しています。
1.1 国家公務員の特別職やキャリア官僚は指数に含まれていない
ラスパイレス指数は国家公務員の一般行政職の給与を基準としています。そのため、特別職やキャリア官僚の給与は反映されていません。
国家公務員の一般行政職は、国の各省庁だけでなく国の地方機関でも勤務する職員です。ハローワークや法務局、税務署などで働く職員は、多くが国家公務員の一般行政職にあたります。
一方、特別職は内閣総理大臣や国務大臣といった要職を指します。内閣総理大臣は203万8000円、国務大臣は148万6000円と、一般職よりもはるかに高い給与を受け取っているため、指数に反映してしまうと数値が大幅に下がってしまうのです。
また、事務次官、局長を務めるようなキャリア官僚の給与は指定職俸給表に基づき決定するため、一般職とは給与学が異なります。こちらも指数に反映するとラスパイレス指数に大きな影響をおよぼすため除外されています。
ラスパイレス指数はあくまで一般職同士の給料を比較した数値であり、単純に国家公務員と地方公務員の給料を比較したものではない点をおさえておきましょう。
では、次章ではラスパイレス指数上位10位の自治体を紹介します。
2. ラスパイレス指数TOP10の自治体を紹介
今年度の総務省の調査結果をもとに、ラスパイレス指数の上位10位までの自治体をまとめました。
2.1 都道府県
- 1位
静岡県:102.2 - 2位
三重県:101.1 - 3位
愛知県:101.0 - 4位
広島県:100.9 - 5位
福岡県:100.8 - 6位タイ
東京都:100.5 - 6位タイ
山梨県:100.5 - 8位
大阪府:100.4 - 9位タイ
埼玉県:100.3 - 9位タイ
岡山県:100.3
2.2 政令指定都市
- 1位
仙台市:102.3 - 2位タイ
岡山市:101.6 - 2位タイ
北九州市:101.6 - 4位
京都市:101.5 - 5位
福岡市:101.2 - 6位
さいたま市:101.1 - 7位
静岡市:100.9 - 8位
千葉市:100.5 - 9位
堺市:100.4 - 10位
川崎市:100.2
2.3 中核市
- 1位
越谷市:102.7 - 2位
大分市:102.1 - 3位
柏市:102.0 - 4位
宇都宮市:101.7 - 5位タイ
川口市:101.2 - 5位タイ
横須賀市:101.2 - 7位
川越市:101.1 - 8位タイ
福島市:101.0 - 8位タイ
西宮市:101.0 - 10位
姫路市:100.9
2.4 その他市区町村
- 1位
兵庫県芦屋市:103.5 - 2位
京都府大山崎町:103.3 - 3位タイ
千葉県八千代市:102.8 - 3位タイ
静岡県熱海市:102.8 - 5位タイ
千葉県流山市:102.4 - 5位タイ
千葉県多古町:102.4 - 5位タイ
静岡県沼津市:102.4 - 8位
神奈川県座間市:102.3 - 9位
兵庫県小野市:102.2 - 10位タイ
静岡県三島市:101.8 - 10位タイ
静岡県湖西市:101.8 - 10位タイ
愛知県豊川市:101.8
指数第1位は静岡県でした。三重県、愛知県が続き、東海3県が上位3位までを独占しています。静岡県は静岡市のほか、熱海市や沼津市、三島市、湖西市と多くの自治体が10位以内に入っています。その分平均が高くなり、1位となったと考えられるでしょう。
指数の高さでいえば、兵庫県芦屋市が103.5で全国1位です。2位は京都府大山崎町の103.3で、103以上の数値を記録しているのはこの2市町だけです。
では、ラスパイレス指数の課題について、次章で解説します。
3. ラスパイレス指数は高いといけないのか
公務員7/7
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ラスパイレス指数は、100を上回ると国家公務員の一般行政職の給料よりも高い給料を受け取っていることを示します。しかし、地方公務員の給料は人事院勧告や国家公務員・民間企業の給料を考慮して決めています。そのため、指数が高すぎる場合は、是正の余地があるでしょう。
ただし、ラスパイレス指数は地方公務員の行政職と国家公務員のキャリア官僚や特別職を除いた行政職の給料を比較したものです。地方公務員の行政職は管理職も含めたすべての行政職に該当する人の給料を対象としていますが、国家公務員は事務次官や局長など一部の管理職の給料は比較対象外となっています。
よって、管理職への登用に積極的な自治体や、実績・能力主義による人事評価をしている自治体は、平均給料が増えラスパイレス指数が高めになりがちなのです。
ラスパイレス指数は、本来は一概に比較できない国家公務員と地方公務員の給料を、できる限り同水準に近づけて簡易的に比較するための数値であり、あくまで目安の一つです。
指数の高い芦屋市や大山崎町では、指数が極端に高くならないよう、給与の削減や人件費削減に取り組んでいると公表しています。適切な給料水準が求められるのは確かですが、ラスパイレス指数の仕組みを見ると「数値が高いから是正しなければならない」とは決していい切れないでしょう。
4. まとめ
地方公務員のラスパイレス指数上位はいずれも100を上回っています。とくに高い自治体では、数字がさらに増えないよう対策を取っているところもあるようです。
とはいえ、地方と国とでは財政運営や制度運用の仕方が異なります。あくまで給料の目安の一つとして捉えておくとよいでしょう。
参考資料
- 総務省「ラスパイレス指数の算出方法」
- 千葉県「ラスパイレス指数(一般行政職)」
- e-Gov法令検索「特別職の職員の給与に関する法律」
- 総務省「令和6年地方公務員給与実態調査結果等の概要」
- 芦屋市「本市のラスパイレス指数について」
- 大山崎町「令和4年4月22日付京都新聞夕刊記事に対する町の見解について(令和4年4月26日掲載)」
石上 ユウキ