2026年3月9日、厚生労働省は、40~64歳未満が支払う2026年度の介護保険料が平均で1人あたり6360円になる見込みであると公表しました。
社会保険料にはさまざまな種類があります。なかでも健康保険料や介護保険料は、徴収が始まると、原則生涯にわたって納め続けなければなりません。
介護保険料は、40歳から徴収が始まります。40〜64歳と、65歳以降では保険料が決まる基準が異なるため、基本的に65歳からはさらに負担が増える傾向にあります。
もし年収500万円の場合、月額いくらの介護保険料を納めるのでしょうか。この記事では、介護保険料の負担額を、仕組みや全国平均額を交えて解説します。
1. 介護保険料はどんな仕組み?
介護保険料は、日本の公的介護保険制度を支えるために徴収されている費用です。40歳を迎えると徴収が始まり、以降は生涯にわたって納め続けていきます。
介護保険制度は、年齢によって以下の2つの区分に分かれています。
介護保険制度について1/5
各種資料をもとに筆者作成
第1号被保険者(65歳以上)の介護保険料は、前年の所得に応じて、市町村が独自に設定する保険料段階をもとに決まります。保険料は、年金から天引きされるのが一般的です。天引き対象外の場合は、納付書で支払います。
一方、第2号被保険者(40~64歳)の介護保険料は、給与を所定の等級で区分した「標準報酬月額」に保険料率を掛けて算出します。
協会けんぽの場合、2025年3月からの保険料は1.59%。2026年3月からの保険料は1.62%となっています。徴収方法は、厚生年金保険料や雇用保険料などと同様に、給与から天引きされる形です。
第2号被保険者で会社員の場合、介護保険料は、労働者自身と事業主が折半して負担します。そのため、全額自己負担となる個人事業主や第1号被保険者の人よりも、負担額は少なくなる傾向にあります。
次章では、介護保険料の全国平均を見ていきましょう。
2. 介護保険料の全国平均
介護保険料の全国平均を、被保険者区分別に見ていきます。
- 第1号被保険者:6225円
- 第2号被保険者:6360円(見込額)
保険料の平均は、それぞれ6000円台です。介護保険制度がスタートした2000年時点での保険料は、第1号被保険者が2911円、第2号被保険者が2075円ですから、26年で約3倍にまで上昇しています。それだけ介護サービスを利用する人が増えており、高齢化の影響が顕著であるといえるでしょう。
なお、65歳以上の保険料(第1号)は自治体ごとに設定されるため、住む場所によって月額3000円台〜9000円台と大きな幅があるのが特徴です。現役時代は全国一律の基準で決まりますが、老後は「どこに住むか」も負担額を左右する要因となります。
次章では、年収500万円の場合の介護保険料について解説します。
3. 「年収500万円」介護保険料は月額いくら?
年収500万円(賞与なし)の場合の介護保険料を、被保険者区分別に計算してみましょう。
まずは、第2号被保険者の保険料を計算します。試算の条件は以下のとおりです。
- 東京都在住
- 健康保険は協会けんぽに加入
これをもとに計算すると、保険料は以下のようになります。
- 標準報酬月額:41万円
- 保険料率:1.59%
- 保険料額:6519円
介護保険料の金額は6519円です。会社員の場合、介護保険料は労使折半となるため、実際に天引きされる保険料は半額の3259円です。
なお、もし賞与がある場合は、賞与からも介護保険料が徴収されます。そのため、賞与月は一時的に保険料の負担額が増えます。
次は、第1号被保険者の保険料を計算します。試算の条件は以下のとおりです。
- 前年の給与収入が500万円の65歳
- 東京都新宿区に在住
これをもとに計算すると、保険料は以下のようになります。
- 所得金額:356万円
- 基準額に対する割合:基準額(月額6600円)×1.4
- 保険料額:9240円
保険料は9240円と、40〜64歳の頃に比べて上昇しています。第1号被保険者はこの金額を全額自己負担しなければならないため、現役時代の約3倍の保険料を納めることになるのです。
次章では、さらなる手取り減の要因となる費用について解説します。
4. 2026年4月からさらに手取りが減る?
2026年4月から、子ども・子育て支援金の徴収が始まります。子ども・子育て支援金は、国の子育て施策の財源として徴収されるお金です。介護保険料ではなく健康保険料に上乗せして徴収されます。
徴収額は月額数百円程度ですが、2026年度、2027年度は標準額から減額された金額が徴収される予定であり、2028年度にかけて負担額が増えていきます。
加入者1人当たりの金額
平均額
- 2026年:250円
- 2027年:350円
- 2028年:450円
協会けんぽ
- 2026年:250円
- 2027年:350円
- 2028年:450円
健保組合
- 2026年:350円
- 2027年:400円
- 2028年:550円
共済組合
- 2026年:350円
- 2027年:450円
- 2028年:600円
国民健康保険
- 2026年:200円
- 2027年:300円
- 2028年:400円
後期高齢者医療保険
- 2026年:200円
- 2027年:250円
- 2028年:350円
この支援金は、国の社会保障改革により、社会保障負担の減少分の範囲内で徴収される予定です。そのため、国は「実質的な手取りは変わらない」としています。とはいえ、新たな負担が増えることから、どの費用がいくら差し引かれるのか、この機会にあらためて確かめておくとよいでしょう。
5. まとめ
年収500万円(賞与なし)の介護保険料は、40〜64歳が6000円台で、実質負担額は3000円台です。一方、65歳以上は9000円台と、現役時代よりも負担額が増えます。
65歳以降は年金からの天引きが原則となるため、手取り減少が家計に大きな影響を及ぼします。年金以外の収入源や資産を用意しておくのが大切です。
参考資料
- 全国健康保険協会「協会けんぽの介護保険料率について」
- 厚生労働省「第9期計画期間における介護保険の第1号保険料について」
- 厚生労働省「令和7年度 介護納付金の算定について(報告)」
- 厚生労働省「令和8年度 介護納付金の算定について(報告)(令和8年3月9日)」
- 全国健康保険協会「令和7年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」
- 新宿区「介護保険料の決まり方」
- こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度について 子ども・子育て支援金に関する試算(医療保険加入者一人当たり平均月額)」
石上 ユウキ