2. 日本で「富裕層・超富裕層」の世帯数が増えている背景

「アベノミクス」が始まった2013年以降、富裕層・超富裕層の世帯数は一貫して増加傾向にあります。

純金融資産保有額の階層別にみた保有資産規模と世帯数の推移

純金融資産保有額の階層別にみた保有資産規模と世帯数の推移

出所:株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計 | ニュースリリース | 野村総合研究所(NRI)」(2025年2月13日)

「超富裕層+富裕層」の世帯数や資産総額の推移についても見てみましょう。カッコ内は前回調査からの増加率です。

  • 2005年:86.5万世帯・213兆円
  • 2007年:90.3万世帯・254兆円(+4.4%・+19.2%)
  • 2009年:84.5万世帯・195兆円(-6.4%・-23.2%)
  • 2011年:81.0万世帯・188兆円(-4.1%・-3.6%)
  • 2013年:100.7万世帯・241兆円(+24.3%・+28.2%)
  • 2015年:121.7万世帯・272兆円(+20.9%・+12.9%)
  • 2017年:126.7万世帯・299兆円(+4.1%・+9.9%)
  • 2019年:132.7万世帯・333兆円(+4.7%・+11.4%)
  • 2021年:148.5万世帯・364兆円(+11.9%・+9.3%)
  • 2023年:165.3万世帯・469兆円(+11.3%・+28.8%)

こうした世帯数や資産総額の増加の背景には、株式をはじめとする資産価格の上昇が影響していると考えられます。 

投資環境が整い、資産形成が活発化する中で、一部の投資家が大きな利益を得た結果、もともと準富裕層に分類されていた世帯が富裕層へとステップアップするケースも見られます。  

また、資産は世代を超えて受け継がれることが一般的です。

少子化の進行により相続人となる子どもの数が減少し、一人当たりの相続額が増えたことも、富裕層の増加に寄与していると考えられるでしょう。  

もっとも、親や祖父母が資産家であるかどうかは、個人の努力で変えられるものではありません。  

一方で、いわゆる「お金持ち」と呼ばれる人の中には、特別な資産を受け継ぐことなく、努力を重ねてキャリアを築き、高収入を得るに至ったケースも少なくありません。  

次に、富裕層の定義を保有資産額ではなく「収入」とし、世帯年収1500万円以上の「新富裕層(インカムリッチ)」の実態について詳しく見ていきましょう。

※準富裕層:純金融資産保有総額「5000万円以上1億円未満」の世帯