2025年に入り、ドル円の為替水準は引き続き円安の傾向が根強く、それに加えて人手不足による人件費の上昇や農作物の不作などもあり、物価の上昇は弱まることを知りません。
2025年1月17日、日本銀行が公表した「生活意識に関するアンケート調査(第100回<2024年12月調査>)」を見ても、過去1年でも物価がかなり上がったと感じる人は約7割とのデータも出ており、生活にゆとりがなくなってきたと回答している人も6割に近づこうとしています。
一方でそのような中でも、日本でも富裕層が少しずつ増えていると言われています。なぜ日本でも富裕層が増えてきているのか?本記事では日本の富裕層がどの程度いるかを含め解説します。
そのうえで、富裕層にまつわる調査をもとに、彼らの消費傾向や資産管理の方法についても詳しく見ていきますので、参考にされてみてはいかがでしょうか。
1. 【富裕層は増加中】1億円超の《資産家世帯》2005年以降最多に
では、実際のところ、日本の富裕層はどのくらいいるのでしょうか? 厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、2002年の平均所得額は602万円、中央値は485万円でした。これに対し、2023年は平均が524万000円、中央値が405万円となっており、この20年程度で減少していることが分かります。
一方で、冒頭で述べられているような物価上昇や円安による影響で多くの人が生活にゆとりを感じられなくなっている状況下でも、いわゆる「富裕層」と呼ばれる資産家層は着実に増えているのです。
2025年2月13日、野村総合研究所が公表したニュースリリースから、その詳しいデータを見ていきましょう。
1.1 【富裕層】1億円超の資産家世帯は2005年以降最多に
2025年2月13日、野村総合研究所が公表したニュースリリースでは、2023年の日本における純金融資産保有額別の世帯数と資産規模の推計結果を見ることができます。
この調査では、純金融資産保有額に応じて世帯を以下の5つの層に分類しています。
- マス層(3000万円未満)
- 準富裕層(3000万円以上5000万円未満)
- 富裕層(5000万円以上1億円未満)
- 超富裕層(1億円以上5億円未満)
- 超富裕層(5億円以上)
このうち「富裕層」と「超富裕層」の世帯数合計は165万3000世帯、全世帯の約3%です。また、富裕層予備軍ともいえる「準富裕層」は403万9000世帯。これらの資産家世帯の数は、いずれも増加傾向にあります。
1.2 【一覧表】富裕層の世帯数と純金融資産保有規模
- 超富裕層(5億円以上):11万8000世帯・135兆円(9万世帯/105兆円)
- 富裕層(1億円以上5億円未満):153万5000世帯・334兆円(139万5000世帯/259兆円)
- 準富裕層(5000万円以上1億円未満):403万9000世帯・333兆円(325万4000世帯/258兆円)
- アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満):576万5000世帯・282兆円(726万3000世帯/332兆円)
- マス層(3000万円未満):4424万7000世帯・711兆円(4213万2000世帯/678兆円)
※カッコ内は前回調査(2021年)の結果
※純資産額とは、保有する資産から負債を差し引いた金額のこと
富裕層と超富裕層が保有する資産を合わせると469兆円。前回調査から約3割も増えています。
日本の全世帯が保有する資産の約4分の1が、純金融資産保有額1億円以上の「富裕層と超富裕層」に集中しているのです。