筆者はFPとして業務を行っており、日々さまざまなお金に関するご相談をいただきます。近年、老後資金に対する不安を抱える方が増えているように感じます。

年金の受給額は、現役時代の働き方や収入によって大きく異なります。実際、お客様の中には「年金だけでは老後の生活が厳しい」と感じる方もいれば、「年金だけで十分暮らしていける」という方もいて、個人差が大きいようです。

今回は、厚生年金と国民年金の受給額について詳しく見ていきます。個人ごとの受給額の違いについても確認していきましょう。

1. 厚生年金と国民年金のしくみ

日本の公的年金制度は、<2階建て構造>といわれています。

1階部分が「国民年金(基礎年金)」、2階部分が「厚生年金」と、2つの部分から成り立っているからです。

【写真12枚】1枚目/日本の年金制度のしくみ、2枚目/年金受給額を「一覧表」でチェック!

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成

続いて、国民年金と厚生年金のそれぞれの特徴を確認しておきましょう。

1.1 【1階部分】国民年金(基礎年金)

  • 原則、日本国内に住む20歳以上60歳未満の全員に加入義務がある
  • 保険料は一律(年度ごとに改定あり) ※2025年度は月額1万7510円(前年度比+530円)
  • 保険料の納付期間に応じて将来もらえる年金額が決まる ※2025年度の満額は月額6万9308円(前年度比+1308円)

1.2 【2階部分】厚生年金

  • 公務員やサラリーマンなどが、国民年金に上乗せして加入する
  • 保険料は、毎月の給与や賞与などの報酬に応じて計算される(上限あり)
  • 年金額は加入期間や保険料の納付額に応じて計算され、国民年金に上乗せして支給される

日本の公的年金制度は、「国民皆年金」を基盤としています。
これは、日本に住む20歳以上60歳未満の全ての人が、「国民年金」に原則加入する義務があるということです。

一方で、「厚生年金」は主に会社員や公務員が、国民年金に上乗せする形で加入する制度です。

この国民年金と厚生年金の<2階建て構造>は、すべての国民に最低限の年金を提供しつつ、会社員や公務員などには追加の年金を受け取る機会を与えているものです。老後の生活の安定に役立つ仕組みと言えるでしょう。

では、現代のシニア層の年金受給額はどれくらいなのでしょうか。

厚生労働省が公表したデータを見ながら、国民年金と厚生年金(国民年金を含む)の平均月額を年齢別に確認していきましょう。