総務省は2025年2月21日に、2025年1月の消費者物価指数を発表しました。

消費者物価指数(CPI、2020年=100)は、変動の大きい生鮮食品を除き、前年の同月と比べて3.2%上昇し、2023年6月以来の上昇率となりました。コメの価格高騰が続いている点も、気になる人も多いのではないでしょうか。

今年も続く値上げの波に、日々のやりくりがますます難しく感じている方も多いのではないでしょうか。中には、これまで資産形成に回していたお金を、生活費に充てようかと考えている方もいるかもしれません。

では、実際にリタイア後の生活費として、どのくらいの資金を準備しておくべきなのでしょうか?

「公的年金だけで十分なのか」「毎月の生活費は足りるのか」といった疑問を抱きつつも、具体的な金額がわからないと、漠然とした不安が拭えないものです。

そこで今回は、65歳以上のシニア世帯の生活費や年金の実態をご紹介していきます。シニア世帯の現状を把握することで、資産形成をより具体的に進められるのではないでしょうか。

1. 65歳以上・無職夫婦世帯の平均貯蓄額はいくらか?…答えは約2500万円

老後生活にまず欠かせないのが、現役時代から積み立てた「貯蓄」です。

老後を迎えるにあたっては、年金だけでは不足する生活費の補填はもちろん、家具や家電の買い替え、マイホームのリフォーム、万が一の病気や介護費用なども考慮をし、ある程度まとまった貯蓄を保有しておきたいものです。

現役引退後に有利な条件で金融機関からお金を借り入れることができないのが、老後の最大の問題点です。

1.1 総務省「家計調査」で見る、65歳以上の二人以上世帯の貯蓄額(平均値と中央値)

ここからは総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)」(2024年5月17日公表)を参考に、世帯主が65歳以上の貯蓄を見ていきましょう。

【写真1枚目/全7枚】65歳以上の貯蓄分布。2枚目~無職夫婦世帯シニアの生活費をまとめてみる!

65歳以上の貯蓄分布

出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)」

上記によると、「世帯主が65歳以上の二人以上世帯」の貯蓄現在高は次のとおりです。

  • 平均値:2462万円
  • 貯蓄保有世帯の中央値:1604万円

一般的な年金受給開始年齢は65歳からですから、65歳以降を老後と考えると、その世帯の平均的な貯蓄額は2462万円。

ただし、「平均」は一部の多くの貯蓄をしている人、たとえば富裕層の影響を受けやすいという特徴があります。

そこで、平均ではなく中央値を見て行きましょう。

中央値になると金額は1604万円まで下がりました。こうなると、読者の方も平均値よりも手触り感があるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。