株高やNISA拡充を背景に、個人の資産形成が活発化しています。資産を増やす人とそうでない人の差はますます広がり、家計の二極化が進んでいます。
野村総合研究所の調査では「純金融資産1億円以上」の富裕層・超富裕層が全世帯の約3%を占め、総資産は469兆円にのぼるとのこと。とはいえ、大多数の家庭にとっては、将来の生活費や医療・介護費への不安が現実的な課題です。
本記事では、日本の富裕層の実態や世帯分布、収入別の投資傾向をデータで確認していきます。後半では、老後にかかる医療費の実情を踏まえながら「今からできる備え」について考えます。
1. 【最新版】日本の富裕層は全世帯の約3%…富裕層の定義・割合
「富裕層」と呼ばれる資産家たちは、どのような世帯なのでしょうか。
野村総合研究所が2025年2月13日に公表したニュースリリースでは、純金融資産保有額(※)に応じて世帯を以下の5つの層に分類しています。
※純金融資産保有額:預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命保険や年金保険など、世帯として保有する金融資産の合計額から不動産購入に伴う借入などの負債を差し引いたもの
1.1 純資産保有額の階層別にみた「保有資産規模と世帯数」
出所:株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」
- マス層(3000万円未満)
- アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満)
- 準富裕層(5000万円以上1億円未満)
- 富裕層(1億円以上5億円未満)
- 超富裕層(5億円以上)
ここでは純金融資産1億円以上5億円未満の世帯を「富裕層」、5億円以上の世帯と「超富裕層」と定義し、世帯数や保有資産の規模についての推計データが公表されています。
このうち「富裕層」と「超富裕層」を合わせた世帯数は165万3000世帯に達し、全世帯の約3%を占めることが分かりました。
この合計世帯数は、推計が開始された2005年以降で最多です。また、富裕層・超富裕層それぞれの世帯数も2013年以降、継続的に増加傾向となっています。