2022年から導入された「在職定時改定」により、厚生年金に加入して働き続けている人は、毎年10月分(12月支給)から年金額が自動的に見直される仕組みになりました。
これにより、退職を待たなくても働いた分の保険料が年金額に反映されます。
本記事では、在職老齢年金と「在職定時改定」の仕組みをわかりやすく解説し、実際にどのくらい年金が増えるのかをデータを交えて紹介します。
1. 在職老齢年金とは?
在職老齢年金とは、年金を受け取りながら働いている人が対象となる制度です。
通常、年金は退職後に受け取るイメージがありますが、60歳以上で厚生年金に加入して働き続ける場合、年金と給与の合計額に応じて年金額が調整される仕組みが設けられています。
具体的には、給与や賞与が一定額を超えると、その超過分に応じて年金が減額される「調整」が行われます。
この調整により、現役世代の収入状況に応じて年金支給額が変動するのです。
ただし重要なのは、減額されるのはあくまで「受け取る年金額」であり、厚生年金に加入して働き続けている間の保険料納付は将来の年金額に確実に反映される点です。
言い換えれば、在職中に年金が一時的に減額されても、老後に受け取る年金の総額は着実に増えていくことになります。
在職老齢年金制度における支給停止調整額は年度ごとに少しずつ見直しがおこなわれてきました。
- 2024年度:50万円
- 2025年度:51万円
- 2026年度:62万円(予定額)
今回の改正(2026年4月から適用)では、51万円(2025年度金額)から62万円へと大幅に引き上げられることになります。
厚生労働省の試算では、新たに約20万人が年金を全額受給できるようになると試算されています。