2. なぜ住民税非課税世帯への給付が続いているのか
政府が住民税非課税世帯への給付を相次いで実施しているのは「低所得者は物価高の影響を大きく受けるため」とされます。
厚生労働省の「令和5年国民生活基礎調査」によれば、調査世帯4674世帯のうち住民税非課税世帯は1279世帯で、割合にすると27.4%となっています。
※上記、世帯総数には不詳世帯も含む
特に高齢者の住民税非課税世帯の割合が多くなっており、65歳以上では38.1%、75歳以上では49.1%と4〜5割程度が住民税が課税されていません。
高齢者は体力面、健康面から現役の頃のようにフルタイムで働くのが難しくなります。収入は年金のみという人も多いでしょう。限られた収入のなかで物価高に直面すると、生活がままならなくなる可能性が考えられます。よって、非課税世帯への給付を続けているのです。
また、賃上げの恩恵を受けられる住民税非課税世帯が少ないのも理由と考えられます。総務省の「家計調査」によると、勤労者世帯と無職世帯の世帯数と割合は以下のとおりです。
- 総世帯数:7874世帯
- 勤労者世帯:4185世帯(53.1%)
- 無職世帯:2897世帯(36.8%)
勤労者世帯は53.1%で約半数以上が労働者のいる世帯であり、賃上げの恩恵を受けられます。しかし、無職世帯は賃上げによる収入増が期待できず、年金の改定などを待たなければなりません。賃上げの恩恵を受けられない無職世帯は36.8%と約4割存在しており、決して少なくはありません。
同調査では実収入についても結果を公表しています。勤労者世帯が1ヶ月あたり49万6157円なのに対し、無職世帯は14万9701円です。給与を受け取っていない分収入が低く、物価高の影響を受けやすいのです。よって、給付金の支給により生活苦を和らげようとしています。
とはいえ、物価高は世帯構成や世帯収入額に関係なく影響をおよぼしています。非課税世帯に限った現金給付が相次いだことで、勤労者世帯からは不満の声もあがっているようです。
では、次章では住民税非課税世帯が受け取れる年金額について解説します。