2. 国民健康保険の保険料
国民健康保険の保険料についても確認しておきます。保険料は市区町村ごとに異なり、世帯単位で算定します。会社員が加入する健康保険のような「扶養」という制度がないため、子どもを含めて加入者全員が被保険者となります。
保険料は、前年の所得をもとに課される「所得割」と、所得や年齢に関係なく加入者全員が納める「均等割」などで構成されます。
均等割は世帯人数が多いほど保険料が高くなるため、所得が一定以下の世帯には軽減制度が設けられています。
国民健康保険料にも上限が設けられていますが、単身世帯で約1160万円が上限に達する年収となるので、該当する世帯の割合は少ないでしょう。
3. 任意継続と国民健康保険どちらがお得かシミュレーション
退職前の月収別にシミュレーションをしてみましょう。
条件として、協会けんぽ(東京都)加入、東京都世田谷区在住、年齢30歳を想定します。
3.1 退職前の月収が30万円の単身者
<任意継続の保険料>
標準報酬月額30万円×9.98%=2万9940円
2万9940円×12ヵ月=35万9280円
年間保険料:35万9280円
<国民健康保険の保険料>
給与収入360万円-給与所得控除116万円=総所得金額244万円
所得割:(総所得金額244万円-基礎控除43万円)×11.49%=23万949円
均等割:6万5600円
年間保険料:29万6549円
任意継続をした場合の年間保険料は約36万円。対して国民健康保険に加入した場合の年間保険料は約30万円となり、国民健康保険に加入した方がお得ということがわかりました。
他の月収でもみてみましょう。月収20万円から月収100万円まで10万円刻みにして試算した結果は以下となります。
任意継続の場合をみてみると、月収30万円以上から年間の保険料は36万円と変わっていません。これは月収30万円が任意継続の上限となっているからです。
一方、国民健康保険の場合は、月収90万円以上で保険料の上限となっていることがわかります。
そのため、月収30万円までは、国民健康保険に加入した方がお得ですが、それ以上になると、任意継続の上限に達するため、任意継続の制度を利用した方がお得となります。