2024年12月20日、自由民主党と公明党が公表した「令和7年度税制改正大綱」によると、所得税の非課税枠「年収103万円の壁」を123万円に引き上げることが表記されています。
年収の壁を意識して働いている人は、「壁を超えないこと」に気をとられがちですが、年収アップは老後の年金額にプラスの影響をもたらすケースもあります。厚生年金に加入して働けば、保険料が天引きされますが、加入期間が長ければ長いほど、そして年収が高ければ高いほど(上限あり)、年金額が増えるからです。
では、例えば、現役時代の平均年収がいくらあれば、老後に月額20万円の年金を受給できるのでしょうか。シミュレーションをしてみますので、老後対策の参考にご確認ください。
1. 公的年金「国民年金・厚生年金」は2階建て構造
まずは、公的年金である「国民年金・厚生年金」の仕組みから、おさらいしておきましょう。
日本の公的年金は、「国民年金」と「厚生年金」の2種類から構成されており、それぞれの加入対象は以下の通りです。
- 国民年金:日本に住む20歳〜60歳未満の人が加入
- 厚生年金:主に会社員や公務員が加入
上記2つの公的年金は「2階建て構造」となっており、会社員や公務員の場合は「国民年金(1階部分)」に上乗せして、厚生年金(2階部分)が受け取れます。
1階部分の「国民年金」は、保険料が一律で、年度ごとに見直しがあります。
そのため、加入期間と納付月数が同じであれば、すべての加入者が同じ年金月額を受け取ることになります。
一方、2階部分の「厚生年金」は報酬比例制を採用しており、給与などの報酬に基づいて保険料が決まります。
このため、厚生年金の場合は現役時代の年収や加入期間によって、老後の受給額に差が生じやすいのです。