4. 【リスク別】将来資金の運用方法
現在、預貯金の金利が低いため、運用によって将来資金を増やすことが難しい状況です。
そのため、NISAを利用して資産運用を始める人が増えています。
NISAは、運用益に対して税金がかからない制度です。
運用対象は多岐にわたり、元本保証はされていません。
また、「リスクとリターンは比例する」というポイントも重要です。
リスクとは「金額のブレ」を表し、ブレ幅が大きいものほどリターンが高くなる傾向にあります。
4.1 ローリスク・ローリターンの運用方法
リスクが低い資産運用の一つに、債券投資があります。
債券投資とは「お金を貸して、お礼に利子をもらう」投資のことで、国や地方自治体、企業などが債券を発行しています。
債券の中で元本保証されている金融商品は、個人向け国債です。
元本保証されている金融商品で、国が発行する債券です。満期がくると投資したお金が戻ってきます。
ただし、一定期間内に解約すると、解約手数料により「元本割れ」する可能性があるため、中途解約のタイミングには注意が必要です。
債券投資のメリットは、お金の見通しを立てやすいことです。
具体的には、「満期の時期」や「金利」などがあらかじめ決まっているため、計画的な資産運用が可能です。
4.2 ミドルリスク・ミドルリターンの運用方法
「大きなリスクはとりたくないけれど、ある程度のリターンはほしい」と考えている方には、ミドルリスク・ミドルリターンの運用方法の1つに投資信託があります。
投資信託の大きなポイントは、プロが運用してくれること。
その分手数料はかかりますが、専門家が運用してくれるため「売買のタイミングがわからない」「どれを選んだらよいのかわからない」という場合に向いているといえるでしょう。
4.3 ハイリスク・ハイリターンの運用方法
ハイリスク・ハイリターンの運用方法の1つとして「株式投資」があります。
株式投資のメリットは、3つの利益が期待できること。
1つ目は、値上がりしたときに売って得られる利益です。
企業が発行する株式を買ったときより、売ったときの値段が高くなれば、その差額分が「利益」になります。
2つ目は、配当金です。株主に対し「配当金」を支給する企業もあり、保有している株数によって、配当金の金額が異なります。
また、配当金の有無や金額は、企業ごとに異なるのが特徴です。
3つ目は、株主優待です。企業から株主へ自社商品やサービスなどを贈る制度なのですが、株主優待制度を導入していない企業もあります。
このように3つのメリットが期待できる「株式投資」ですが、「価格変動リスク」や、投資先の会社が経営破綻する可能性がある「信用リスク」が伴います。
そのため、「株式投資」で老後資金の運用を検討する場合は、生活防衛資金を用いるのではなく余剰資金をあて、理解したうえで始めるようにしましょう。
5. 「おひとりさまの老後」は準備が大切。経済的なリスクに備えよう
本記事では、70歳代おひとりさま世帯の貯蓄額や、支給される国民年金・厚生年金について確認してきました。
〈国民年金や厚生年金〉などの公的年金だけでは、物価高の影響もあり「生活するのが厳しい」と感じている方が多いです。
70歳代おひとりさま世帯の26.7%は「貯蓄ゼロ」となっており、現役時代に貯めたお金がある方でも、貯蓄を切り崩しながら老後生活を送ることに不安を感じるのではないでしょうか。
現役世代の方は年金問題の影響などによってさらに必要な資金が増えることが予想されています。
老後に「生活費が足りない」と困ることのないよう、今のうちから準備を進めていけるとよいですね。
参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」
- 厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」
- 内閣府「令和6年版高齢社会白書(全体版)」
- 厚生労働省「令和5年簡易生命表の概要」
- 独立行政法人労働政策研究・研修機構「60代の雇用・生活調査結果」
- 金融広報中央委員会「貯蓄とは」
- 厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査結果の概況 Ⅱ各種世帯の所得等の状況」
- 厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査結果の概況 Ⅱ各種世帯の所得等の状況」
- 公益財団法人生命保険文化センター「老後の生活にどれくらい不安を感じている?」
- 金融広報中央委員会「預貯金」
- 金融広報中央委員会「お金を運用する」
- 日本証券業協会「投資を決める際の心構え」
- 金融庁「NISAを知る」
- 財務省「個人向け国債とは??」
- 年金積立金管理運用独立行政法人「分散投資の意義②投資のリスクとは」
- 日本証券業協会「投資入門 証券投資の基本ガイド」
堀江 啓介