「老後はのんびり旅行したり、趣味に没頭したい」と考えている人もいるのではないでしょうか。
理想を描くのは楽しいですが、現実問題としてお金が足りるかどうかは気になりますよね。
筆者はファイナンシャルアドバイザーとして日々相談を受けていますが、老後資金の準備は人それぞれ。特に年金額は働き方や加入期間によって大きく変わるため、受給額を把握し、足りない分をどう補うかを考えるのが大事です。
「そもそも自分は年金をいくらもらえるの?」と気になった方に向けて、この記事では、実際の年金受給額をデータでチェックしていきます。
また意外と知られていない「年金生活者支援給付金」についても分かりやすく解説します。
将来の不安を減らし、安心して暮らせるように、今できる対策を一緒に考えていきましょう。
1. 【最新版】令和シニアの《国民年金・厚生年金》平均月額はいくら?《厚労省データ》
2024年12月、厚生労働省年金局は「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を公表しました。
公的年金(国民年金・厚生年金)は、私たちの老後の暮らしを支える柱です。同資料より、シニア世代が受け取る老齢年金の平均年金月額データ(2023年度末現在)を眺めていきましょう。
まずは国民年金(老齢基礎年金)から。
1.1 【最新版】令和シニアの《国民年金》平均月額はいくら?《厚労省データ》
- 〈全体〉平均年金月額:5万6316円
- 〈男性〉平均年金月額:5万8798円
- 〈女性〉平均年金月額:5万4426円
国民年金の平均年金月額は、男女全体、男女それぞれで5万円台におさまっています。男女全体の平均である月額5万6316円を1年間受け取ると、年額では67万5792円。
年金額は世帯単位で考える必要があるものの、年金以外の収入源がない場合、やや心もとない金額と言えそうです。
次に、厚生年金の受給額についても詳しく見ていきます。
1.2 【最新版】令和シニアの《厚生年金》平均月額はいくら?《厚労省データ》
- 〈全体〉平均年金月額:14万3973円
- 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
- 〈女性〉平均年金月額:10万4878円
※国民年金の月額部分を含む
厚生年金は、国民年金に上乗せして加入する仕組みです。よって、国民年金のみの場合と比べて受給額が高くなるのが一般的と言えます。
ただし、厚生年金の受給額は、加入期間の長さや現役時代の年収によって大きく異なるため、注意が必要です。
例えば、長期間フルタイムで働いた場合には受給額が増える一方で、加入期間が短かったり、年収が低かった場合には受給額が少なくなることがあります。そのため、実際の受給額には大きな個人差が生じるのです。
このように、厚生年金は現役時代の働き方や収入が将来の受給額に直結する制度であることを理解し、心得ておくことが大切です。
※厚生年金の被保険者は第1号~第4号に区分されており、今回は民間企業などに勤めていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」を紹介しています(本文中では「厚生年金」と表記)。
1.3 年金事情は人それぞれ
現役時代の働き方や過ごし方により、年金加入状況は人それぞれ。
現役時代の働き方やライフスタイルにより、年金の加入状況や受給額は人それぞれ異なります。
国民年金の平均額(男女全体)は月額5万6316円、年額にすると67万5792円です。厚生年金を受け取る場合は、国民年金のみよりも受給額が多くなる傾向がありますが、加入期間や収入に応じて個人差が大きい点には注意が必要でしょう。
例えば、厚生年金の加入期間が短い場合や、国民年金の保険料納付月数が不足している場合には、老後に低年金となることがあります。
非正規雇用で働いていた期間が長かったり、結婚や育児を機に専業主婦となり保険料納付期間が十分でなかったりした場合でも、同じことが考えられるでしょう。
こうしたケースでは、所得の少ない年金受給者を対象とした「年金生活者支援給付金」が、年金に上乗せして支給されることがあります。次では、この「年金生活者支援給付金」について詳しく見ていきます。
2. 知っておきたい【年金生活者支援給付金】
「年金生活者支援給付金」は2019年にスタートした制度。「老齢年金生活者支援給付金」「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」の3種類があります。
それぞれの年金を受給中で、かつ所得面などで一定の要件を満たす方が、年金に上乗せして給付金を受け取ることができるものです。
今回はこのうち「老齢年金生活者支援給付金」の支給要件や、支給額の計算方法などについて整理してお伝えしていきます。
2.1 老齢年金生活者支援給付金の《支給要件》
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額(その他の所得との合計額が1956(昭和31)年4月2日以後に生まれの方は88万9300円以下、1956年4月1日以前に生まれ(※1)の方は88万7700円以下(※2)である。
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まない
※2 1956年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、1956年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される
2.2 老齢年金生活者支援給付金の《給付基準額》
日本年金機構のホームページによると、老齢年金生活者支援給付金の基準額は月額5310円です。ただし、保険料納付済期間等をもとに計算されるため、実際の給付額は人それぞれです。
次ではその計算方法も整理しておきましょう。
2.3 老齢年金生活者支援給付金の給付額の計算方法
月額5310円を基準に保険料納付済期間等に応じて算出。
下記①と②の合計額となります。
- ①保険料納付済期間に基づく額(月額) = 5310円 × 保険料納付済期間(※1) / 被保険者月数480月(※3)
- ②保険料免除期間に基づく額(月額) = 1万1333円※2 × 保険料免除期間(※1)/ 被保険者月数480月(※3)
なお、年金生活者支援給付金を受給することにより、所得が受給要件の金額を超えることのないよう下記の措置がとられています。
- 前年の年金収入額とその他の所得額の合計が77万8900円超87万8900円以下の方には、①に一定割合を乗じた「補足的老齢年金生活者支援給付金」を支給
基礎年金の保険料を480月全て納付していた場合には、月額5310円、年額で6万3720円の生活者支援給付金が支給されることになります。
※1:保険料納付済期間等は、年金証書や支給金額変更通知書等でご確認ください。
※2:保険料免除期間に乗ずる金額は、毎年度の老齢基礎年金の額の改定に応じて変動します。
- 1956年4月2日以後生まれの方は、保険料全額免除、3/4免除、半額免除期間については1万1333円(老齢基礎年金満額(月額)の1/6)、保険料1/4免除期間については5666円(老齢基礎年金満額(月額)の1/12)
- 1956年4月1日以前生まれの方は、保険料全額免除、3/4免除、半額免除期間については1万1301円(老齢基礎年金満額(月額)の 1/6)、保険料1/4免除期間については5650円(老齢基礎年金満額(月額)の1/12)
※3:1917(大正6)年4月1日以前に生まれた方、1917年4月2日~1941(昭和16)年4月1日までの間に生まれた方は、被保険者月数が異なります。詳しくは日本年金機構のホームページをご確認ください。
3. 【年金生活者支援給付金】新たに対象となる人は請求手続き必須!
今回は、「年金生活者支援給付金」の支給要件や給付額を整理してお伝えしたあと、今のシニア世代が受け取る年金額についても見てきました。
新たに年金生活者支援給付金の対象となる人には、9月ごろから「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が送られてきます。
この給付金は公的年金同様、請求手続きをしないと支給されないお金です。新たに対象となる人には、9月以降順次請求書が届きますので、必ず手続きしましょう。
また、すでに年金生活者支援給付金を受け取っている人は、新たに手続きをする必要はありません。
4. 年金だけでは不安?お金を守りつつ増やすコツ
物価は上がるのに収入は変わらない…と感じている非もいるのではないでしょうか。
特に年金世帯では、限られた収入の中でやりくりするのがますます大変になってきていますよね。
そんな中、今回紹介した「年金生活者支援給付金」のほか「住民税非課税世帯向けの3万円給付」など、国や自治体の支援策がいくつか用意されています。
金額自体は決して大きくないかもしれませんが、受け取れるものはしっかり活用するのが大事です。
でも、給付金だけで老後を乗り切るのは厳しいのが現実。だからこそ、現役時代からコツコツ貯金するのはもちろん、資産を増やす選択肢 も視野に入れておきたいところです。
たとえば、リスクを抑えた分散投資 で資産を守りつつ増やしたり、家族のライフステージに合わせて資産の配分を定期的に見直したりすることも選択肢でしょう。
老後が近づいてから慌てて、大きなリターンを狙う投資にはリスクがつきものです。
セカンドライフをお金の不安なく楽しむためにも、今からできる準備を始めていきましょう。
5. 【ご参考】年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説
「年金って難しそう…」と感じている人は、多いのではないでしょうか。でも、基本のポイントを押さえると、意外とシンプルなのです。ここでは、年金についてよくある疑問について、わかりやすくお答えしていきます。
5.1 年金の仕組みってどうなってるの?
まず、日本の公的年金は「2階建て」構造です。下の階が「国民年金」、その上に「厚生年金」があるイメージです。
国民年金
国民年金は、20歳から60歳未満の全員が加入対象。特に自営業やフリーランスの方がメインです。
毎月決まった金額を支払います。いわば、年金の基礎部分です。
厚生年金
厚生年金は、会社員や公務員の方が加入対象です。こちらは収入に応じて保険料が変わるので、もらえる年金額も収入の影響が大きくなってきます。
そのため、個人差が出やすくなっています。
5.2 「繰下げ受給」って実際どうなの?
通常、年金は65歳からもらうものですが、「まだ働けるし、今すぐ必要じゃない」という方には「繰下げ受給」という選択肢があります。簡単に言うと、年金の受け取りを後回しにして、もらう額を増やす方法です。
たとえば、65歳で受け取る予定を75歳まで繰り下げると、年金額が84%も増えるんです。
もし健康で他にも収入源があるなら、繰下げ受給を検討してみる価値は十分にあるでしょう。
5.3 年金や老後資金をもっと増やすには?
繰下げ受給以外にも、年金や老後資金を増やす手段はいくつかあります。
国民年金の付加保険料を払う
自営業やフリーランスの方は、少し追加で保険料を払うことで、将来もらえる年金額をアップできます。
厚生年金に加入する
もし可能なら、厚生年金に加入するのも手です。もし国民年金だけに加入していた場合、会社員になったり、厚生年金が適用されるような働き方を選ぶと、年金額が増えます。
資産運用に挑戦
iDeCo(個人型確定拠出年金)や投資信託での資産運用も有効です。
ただし、これは場合によっては元本割れのリスクもあるので、まずはしっかり調べてからスタートするのが大事。お金の増やし方も「焦らずじっくり」がポイントです。
これで、年金の仕組みが少しクリアになったでしょうか?
ちょっとずつでも理解を深めていくと、老後への不安が少しずつ減っていきますよ。将来に向けて、一緒に準備を始めていきましょう。







