2. 引き上げられるのは「療養費」ではなく「自己負担限度額」

厚生労働省は、高額療養費制度の上限額引き上げを検討しています。この上限引き上げとは、支給される高額療養費のものではなく、自己負担限度額の引き上げを指します。

引き上げの理由は、2023年12月22日に内閣官房から示された「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」に、2028年度までに検討すべき取り組みとして「高額療養費の自己負担限度額引き上げ」について記載されているためです。

最低賃金や物価が上昇を続ける一方、現役世代の医療費の自己負担限度額は変わっていません。高齢化などで医療給付も増えており、原資となる健康保険料の負担も大きくなっています。

そこで、現役世代の保険料負担を抑えるべく、高額療養費の自己負担限度額引き上げを本格的に検討しているのです。

いくらまで引き上げられるのかは、まだ具体的に決まっていません。もし3〜4万円の引き上げとなれば、年収1160万円以上の人の自己負担限度額は最低30万円からとなる可能性もあります。実質的な医療費負担の増加にならないよう、今後の動向を注視する必要があるでしょう。

では、高額療養費の上限引き上げによるメリット・デメリットについて次章で解説します。