社会保険料や税金などはきちんと差し引かれる一方で、給付や手当などは申請しないと受け取れないケースが大半です。

特に、高齢者でこういった情報を得ることに疎い場合、ご自身が受けられる制度があることを知らないまま過ごしているケースも考えられます。

今回は、高齢者が国や自治体から受けられる可能性がある給付や手当、助成制度などをご紹介します。

1. 国から受けられる給付や手当

国から受けられる主な給付や手当は以下のとおりです。

  • 高年齢求職者給付金
  • 高年齢雇用継続基本給付金
  • 高年齢再就職給付金
  • 再就職手当
  • 年金生活者支援給付金
  • 加給年金

1.1 高年齢求職者給付金

高年齢求職者給付金は、65歳以上の高年齢被保険者が離職し、再就職を希望する際に支給される一時金です。 

支給要件

  • 離職日以前の1年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して6か月以上あること
  • 失業の状態にあること

 支給額

被保険者期間が1年未満:基本手当日額の30日分
被保険者期間が1年以上:基本手当日額の50日分 

申請手続き

離職票を持参し、ハローワークで求職の申込み

厚生労働省「離職されたみなさまへ」

1.2 高年齢雇用継続基本給付金

高年齢雇用継続基本給付金は、60歳以上65歳未満の一般被保険者が、60歳到達時の賃金月額に比べて75%未満に低下した場合に支給される給付金です。 

支給要件

  • 支給対象月の初日から末日まで被保険者であること
  • 支給対象月中に支払われた賃金が、60歳到達時等の賃金月額の75%未満に低下していること。
  • 支給対象月中に支払われた賃金額が、支給限度額未満であること。
  • 申請後、算出された基本給付金の額が、最低限度額を超えていること。
  • 支給対象月の全期間にわたって、育児休業給付または介護休業給付の支給対象となっていないこと。

支給額

賃金の低下率に応じて、以下のように支給率が決定されます。 

高年齢雇用継続給付の支給額1/3

高年齢雇用継続給付の支給額

出所:厚生労働省「Q&A~高年齢雇用継続給付~」

  • 低下率が61%以下:支給対象月の賃金に対して15%
  • 低下率が61.5%~75%以上:同 14.35%~0%

申請手続き

勤務先を通じて必要書類をハローワークに提出

1.3 高年齢再就職給付金

高年齢再就職給付金は、60歳以上65歳未満の方が基本手当(失業給付)を受給後、再就職し、再就職後の賃金が離職前の賃金に比べて75%未満に低下した場合に支給される給付金です。

主な支給要件

  •  60歳以上65歳未満で再就職した一般被保険者であること
  • 1年を超えて引き続き雇用されることが確実であると認められる安定した職業に就いたこと
  • 再就職する前に雇用保険の基本手当等の支給を受け、その受給期間内に再就職し、かつ支給残日数が100日以上あること
  • 直前の離職時において、被保険者であった期間が通算して5年以上あること
  • その再就職について、再就職手当を受給していないこと

支給額

高年齢雇用継続基本給付金と同様です。

  • 低下率が61%以下:支給対象月の賃金に対して15%
  • 低下率が61.5%~75%以上:同 0%~14.35%

支給期間

支給残日数が200日以上の場合:2年間
支給残日数が100日以上200日未満の場合:1年間

申請手続き

勤務先を通じて必要書類をハローワークに提出です。

厚生労働省「「高年齢雇用継続基本給付金」 「高年齢再就職給付金」」

1.4 再就職手当

再就職手当は、雇用保険の基本手当(失業給付)を受給中の方が、所定給付日数の3分の1以上を残して安定した職業に早期再就職した場合に支給される手当です。 なお、前述の「高年齢再就職給付金」と併給ができません。 

支給要件

  • 待期期間(7日間)経過後の就職であること
  • 基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること
  • 同じ事業主への就職でないこと
  • 給付制限期間がある場合、待機期間満了後1ヶ月間はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介によって就職したこと
  • 再就職先で1年以上の雇用が見込まれること
  • 雇用保険の被保険者であること
  • 過去3年以内に再就職手当または就業手当を受給していないこと
  • 受給資格決定前に採用が内定していないこと

支給額

再就職手当のご案内2/3

再就職手当のご案内

出所:厚生労働省「再就職手当のご案内」


支給残日数が所定給付日数の3分の2以上の場合: 70%
支給残日数が所定給付日数の3分の1以上の場合: 60%

基本手当日額の上限

60歳未満: 6,395円
60歳以上65歳未満: 5,170円 

申請手続き

再就職手当支給申請書と必要書類を、再就職日の翌日から1か月以内にハローワークに提出

1.5 年金生活者支援給付金

年金生活者支援給付金制度は、公的年金等の収入や所得が一定基準以下の年金受給者に対し、生活の支援を目的として年金に上乗せして支給される制度です。

支給要件

【老齢年金生活者支援給付金の支給要件】

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税
  • 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下(※2)

※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

なお、障害年金および遺族年金の受給者については別途要件が定められています。

給付額

老齢年金生活者支援給付金: 月額5,310円(2024年度基準)
※実際の支給額は、保険料納付済期間や所得状況により異なります。

申請手続き

日本年金機構から送付される「年金生活者支援給付金請求書」を提出

厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」

1.6 加給年金

加給年金は、一定の条件を満たす場合に支給される年金です。

支給要件

厚生年金保険の被保険者期間が20年(※)以上ある方が、65歳到達時点(または定額部分支給開始年齢に到達した時点)で、その方に生計を維持されている配偶者または子がいるときに加算されます。

65歳到達後(または定額部分支給開始年齢に到達した後)、被保険者期間が20年(※)以上となった場合は、在職定時改定時、退職改定時(または70歳到達時)に生計を維持されている配偶者または子がいるときに加算されます。

(※)または、共済組合等の加入期間を除いた厚生年金の被保険者期間が40歳(女性と坑内員・船員は35歳)以降15年から19年

加給年金額

配偶者と1人目・2人目の子については各23万4800円、3人目以降の子は各7万8300円となっています。また、配偶者の加給年金の額には、老齢厚生年金を受けている方の生年月日に応じて、3万4700円から17万3300円が特別加算されます。

2. 自治体独自の助成制度も

今回ご紹介した制度以外にも、自治体独自に行われている補助制度があります。

例えば、住宅をバリアフリー化する際の補助や、補聴器を購入する際に受けられる補助などが挙げられます。

2.1 補聴器の購入費助成

東京都港区では、条件を全て満たす方に補聴器の購入費を助成しています。

対象者

  • 60歳以上の者又は区が実施する高齢者聴力検査の対象者
  • 区が指定する医療機関(補聴器相談医在籍)の医師が、補聴器の装用を必要と認める人
  • 聴覚障害による身体障害者手帳の交付を受けていない人

助成額

補聴器購入額(上限13万7000円)

※住民税課税の人は補聴器購入額の1/2(上限6万8500円)

2.2 高齢者モバイル端末機器取得奨励補助金

福岡県飯塚市では、高齢者のデジタル化に関する格差を解消し、社会とつながりを継続できるよう支援することを目的として、飯塚市高齢者モバイル端末機器取得奨励補助金を交付してます。

対象者

  • 飯塚市内に住民票がある65歳以上の方(昭和35年4月1日以前に生まれた方)で市民税の滞納がない方
  • 現にスマートフォンを所持していない方
  • 令和6年4月1日以降、スマートフォンを購入(3Gガラケーからの乗り換えも対象)し、通信契約を行う方(4Gガラケーは対象外)
  • 市が定めるデジタル端末活用のための教室を受講される方
  • 市が運営するSNS公式アカウント(LINE・X(旧Twitter)・Facebook)のいずれかへの登録と福岡県防災メールまもるくんの登録にご協力いただける方
  • 同補助金の交付を受けたことがない方

補助金の額

2万円

2.3 シニアカー購入助成

岡山県備前市では、高齢者が外出する際の利便を図り社会参加を支援するため、シニアカーの購入に要する費用の一部を補助しています。

対象者

  • 備前市に住民登録がある人
  • 65歳以上の人
  • 住民税非課税世帯の人(世帯員全員が住民税非課税)
  • 介護保険制度に基づくシニアカーの貸与を受けることが出来ない人
  • 過去にこの助成金を受けていない人

助成金額

  • シニアカー購入にかかる費用に対し、5分の1の額(100円未満切捨)以内を助成
  • 補助の上限額は5万円

3. まとめにかえて

国や地方自治自体の給付金や助成制度をご紹介しましたが、これらは申請しないと受けられないものがほとんどです。

中には期限が設けられている助成制度もあるため、受けられる制度があれば必ず申請しましょう。

国や自治体が公表する情報をホームページや窓口などで確認し、受けられる制度がないかこまめに確認することが重要です。

参考資料

加藤 聖人