75歳になると、それまで入っていた医療保険から後期高齢者医療制度へ移ります。
厚生労働省によると、その保険料は世帯ではなく個人単位で賦課され、均等割と所得割の2つでできています。両者の総額の比率は48対52と決まっており、令和8年4月からの全国平均は均等割が年額5万6083円、所得割が10.17%です。
この記事では保険料がどう決まり、どんなときに軽減されるのかを確認したうえで、実際に医療と介護の両方を使ったときの負担の上限を見ていきます。
1. 【後期高齢者医療の保険料】均等割と所得割は48対52。個人単位で毎年度かかる
決めるのは市区町村ではありません。まず誰がどう決めるのかから確かめます。
1.1 広域連合が条例で決め、2年ごとに改定する
出発点は決定の仕組みです。
厚生労働省によると、被保険者の保険料は、条例により後期高齢者医療広域連合が決定し、毎年度、個人単位で賦課されます。保険料率は2年ごとに改定されます。
都道府県ごとに置かれた広域連合が単位になるため、住んでいる都道府県が違えば料率も違います。国民健康保険が世帯単位で市町村ごとだったのに対し、こちらは個人単位で都道府県ごとです。
2年ごとの改定で、令和8年4月から料率も上限も水準が変わった1/2
出所:厚生労働省「後期高齢者医療の保険料について」、東京都後期高齢者医療広域連合「保険料の決め方・賦課」などをもとにLIMO編集部作成。令和8・9年度の平均保険料額は見込額、令和6・7年度は実績
1.2 保険料は均等割と所得割の2つでできている
中身は2つに分かれます。
保険料額は、被保険者全員が負担する均等割と、所得に応じて負担する所得割で構成されます。そして均等割の総額と所得割の総額の比率は48対52と定められています。
全員が同じ額を負担する部分と、所得に比例する部分がほぼ半々という設計です。所得の多寡にかかわらず、加入していれば均等割はかかります。
1.3 令和8・9年度の全国平均は均等割5万6083円、所得割10.17%
料率は令和8年4月に改定されています。
厚生労働省が令和8年4月10日に公表した令和8・9年度の保険料率によると、全国平均は均等割が年額5万6083円、所得割率が10.17%です。令和6・7年度は均等割が年額5万389円、所得割率が10.21%でした。
所得割は旧ただし書所得に料率を掛けて計算します。旧ただし書所得とは、前年の総所得金額等から基礎控除額を差し引いた額です。給与や年金の額そのものではなく、控除を引いたあとの数字に料率がかかります。
1.4 1人当たり平均は月額7989円の見込み
実際に納める額の平均も示されています。
令和8・9年度の被保険者1人当たり平均保険料額は、全国平均で月額7989円となる見込みです。令和6・7年度の7411円から578円、7.8%の増加になります。
ただしこの見込額は、保険料改定に係る各広域連合の条例改正時の見込みであり、実際に各被保険者に課される保険料額の平均値とは異なると注記されています。令和6・7年度の側は実態調査報告から算出した実績で、令和7年度は速報値です。
一方で上限も決まっています。令和8・9年度の賦課限度額は医療分が年額85万円で、令和6・7年度の80万円から5万円引き上げられました。子ども分にはこれとは別に年額2万1000円の限度額が置かれています。
所得がいくら高くてもこの額を超えて賦課されることはありません。平均の年額約9万6000円と比べると、9倍近い開きがあります。
1.5 令和8年度から「子ども分」が加わった
保険料の構成そのものが変わっています。
令和8年度から、後期高齢者医療の保険料に子ども分が加わりました。全国平均は均等割が年額1351円、所得割率が0.25%で、1人当たり平均保険料額は年額2333円、月額194円です。
厚生労働省は、これをこどもや子育て世帯を社会全体で支えるため、高齢者を含む全ての世代や企業が拠出する子ども・子育て支援金だと説明しています。制度は令和8年度から令和10年度にかけて段階的に構築されるため、令和9年度の子ども分の料率は令和8年度末までに各広域連合議会で決定されます。
1.6 所得が低い世帯は均等割が7割・5割・2割軽減される
負担を抑える仕組みがあります。
世帯の所得が一定以下の場合には、均等割の7割、5割又は2割を軽減します。軽減されるのは全員にかかる均等割の側で、所得割ではありません。
判定は世帯で行いますが、賦課そのものは個人単位です。同じ世帯に暮らす人の所得が、自分の均等割の軽減に影響します。
1.7 軽減の所得要件は被保険者数で動く
基準は一律ではありません。
令和8年度の要件は、7割軽減が43万円に、公的年金または給与所得者の合計数から1を引いた数に10万円を掛けた額を足した額以下です。5割軽減はこれに31万円かける被保険者数を足した額以下、2割軽減は57万円かける被保険者数を足した額以下になります。
この31万円と57万円は年度ごとに見直されており、令和6年度は29.5万円と54.5万円でした。自分の年度の基準は広域連合の案内で確かめる必要があります。
また令和8・9年度に限り、7割軽減に該当する人の均等割額は医療分について7.2割軽減となります。厚生労働省も、年金収入84万円の基礎年金受給者について、7割軽減に加えてさらに0.2割軽減することを可能としているとしています。
1.8 勤め先の健康保険から移った人には特例がある
もう1つ別枠の軽減があります。
元被扶養者については、75歳に到達後2年間に限り、所得にかかわらず均等割を5割軽減し、所得割は賦課されません。元被扶養者とは、後期高齢者医療制度に加入する前日に被用者保険の被扶養者、つまり被用者の配偶者や親などであった者を指します。
それまで保険料を負担していなかった人が、いきなり満額を負担することにならないよう置かれた措置です。ただし期間は2年間に限られます。
1.9 2割負担の配慮措置は令和7年9月で終わった
ここまでで、納める側の仕組みは見えます。
後期高齢者医療制度では、令和4年10月から一定以上の所得がある人の窓口負担割合が2割になりました。このとき、急な負担増をやわらげるため、1か月の外来医療の負担増加額を3000円までに抑える配慮措置が3年間置かれました。
この配慮措置は令和7年9月30日で終了しています。令和7年10月以降は通常の高額療養費が適用され、2割負担の人の外来の自己負担は月1万8000円が上限です。
そして75歳以上の年代では、医療だけでなく介護のサービスを使っている人も少なくありません。医療と介護の自己負担が両方あるとき、負担はどこまで積み上がるのでしょうか。
なお、医療と介護の自己負担を合算する仕組みについては、LIMOの記事「高額介護合算療養費、医療費と介護費それぞれ限度額内でも合算すれば戻ってくることが。年間34万〜212万円の基準額と試算で見る払い戻しの実際」から一部を引用・参照しています。
