4. 資産形成において重要なのは「分散すること」
近年、貯蓄だけでなく、運用を取り入れて資産形成を進めている家庭が増えています。
NISAやiDeCoなど、身近に感じられる選択肢が増えたことも影響していますが、実際には「なんとなく始めた」という方が多いのも事実です。
たとえば、教育費を貯めたいという目的で運用を始めた方に「なぜ教育費を貯めようと思ったのか?」と尋ねると、「子供に迷惑をかけたくないから」と答える方が多く見受けられます。
しかし、教育費はしっかり準備できても、老後資金に関しては手つかずという家庭も少なくありません。
もし老後資金が準備できていない場合、当初の「子供に迷惑をかけたくない」という目的が達成されているのでしょうか。
教育費はローンを利用することもできますが、老後資金にはローンを使うことができません。
重要なのは、お金を貯める目的をしっかりと明確にし、その目標を達成するためにどうすべきかを考えることです。
上記を言い換えれば、ライフプランを目先の部分だけでなく、トータルで考える必要があるということになります。
そのためには、貯蓄や運用方法、分散方法も計画的に見直していくことが大切です。
また、貯蓄の目的を「教育費」のように一極集中せず、「老後資金」や「住宅ローンの繰り上げ返済」など、複数の目的に分散して計画することが重要です。
「お金に色をつけて」計画的に備えていくことで、効率的な資産形成を実現することができるでしょう。
5. まとめにかえて
今回は、年収600万円台の世帯を例に、貯蓄額や生活状況について解説しました。将来に向けた資産形成において、大切なのは「目的」を明確にすることです。何のために資産運用や分散を行うのか、その理由を考えることが出発点になります。
まず、自分が何のために資産運用をするのかをはっきりさせることが重要です。その目的に合った手段を選ぶことで、効率よく資産を増やしたり守ったりすることができます。
また、リスクを把握することも重要です。金融商品などを利用した資産運用にはリスクが伴いますが、そのリスクを軽減する方法として「分散」があります。投資対象となる資産や国・通貨などを分散したり、積立投資などで投資時期を分散したりすることで考えられるリスクを抑えることができます。
資産運用を成功させる第一歩は、自分自身の目的をじっくり考えることから始まります。何を目指しているのかを明確にし、それに適した方法を選びましょう。
参考資料
渡邉 珠紀