2024年9月13日に「高齢社会対策大綱」の改定が閣議決定され、在職老齢年金の見直しが示唆されました。在職老齢年金とは、厚生年金と賃金の合計が一定額を超えると年金額の一部か全部がカットされる仕組みです。退職後も働く世帯が増えていますが、将来の収入事情が変わるかもしれない重要な議論となりそうです。
年金収入だけで十分であれば良いのですが、定年退職後も働く方が増えていることを考えると、年金だけでは厳しいことがうかがえます。
長寿化により、働く期間と同様に退職後の生活も長いことが予想されます。長く生活するためにはお金が必要なため、お金の準備は老後の重要課題です。
そこで今回は実際に受け取っている方の平均年金月額を確認し、どのような準備が必要なのかを考察していきます。
1. 公的年金「国民年金と厚生年金」の仕組みをおさらい
まずは、公的年金制度の仕組みについて、おさらいしておきましょう。
日本の公的年金制度は、「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」の2階建て構造になっています。
1.1 国民年金(1階部分)の特徴は?
国民年金は、日本に住む20歳から60歳までのすべての人が原則加入対象で、保険料は全員一律です。
仮に、40年間欠かさず国民年金の保険料を納めれば、老後に満額が受け取れます。
1.2 厚生年金(2階部分)の特徴は?
厚生年金は会社員や公務員、またパートで特定適用事業所に働き一定要件を満たした方が、国民年金に上乗せで加入できる年金保険です。
保険料は収入に応じて(上限あり)変わるため、加入期間や納めた保険料により、老後に受け取れる年金額に個人差が生じやすいのが特徴です。
なお、最近では「個人年金保険」や「iDeCo」などを活用して、私的年金(3階部分)を準備する人も増えています。
次章では、「国民年金」と「厚生年金」それぞれの平均受給額について詳しく見ていきましょう。