4. 国保は加入者減少も赤字続く…理由と対策は

厚生労働省によれば、令和4年度の国民健康保険の加入者は2413万人で、前年度に比べて124万人減少しています。

収入・支出もともに減少していますが、収支の差額は1067億円の赤字です。依然として保険加入者には大きな負担がかかっているといえます。

負担が大きいと感じる要因として、医療給付の増加と被保険者の所得の低さが考えられます。厚生労働省の「令和4年度国民健康保険実態調査」によれば、被保険者のうち41.7%が65〜74歳の高齢者となっています。

そして、高齢化や医療の高度化にともない、医療給付も増えています。医療給付が増えると、給付財源である保険料の負担も増えてしまうのです。

一方で、所得は減り続けています。厚生労働省の「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によれば、2022年の1世帯あたりの平均所得は524万2000円で、前年と比べると3.9%減少しています。

国保加入者の多い高齢者世帯の平均所得は304万9000円で、前年比減少率は4.2%です。

社会保障費の負担増加は、現代において重要な課題です。対策するには、抜本的な改革が必須でしょう。

たとえば、医療費の自己負担割合を現在の「現役3割、高齢者1〜2割」から、一律3割にするといったことが考えられます。

また「世代間での支え合い」から「世代内での支え合い」へのシフトも十分検討の余地があります。中間層・現役世代の負担が過剰にならないよう、社会保障に関するさまざまな動きを注視していく必要があるでしょう。

参考資料

石上 ユウキ