2. 引き上げ額は「3万円」も引き上げ対象は「一部の人」のみ

10月31日に、厚生労働省は国民保険料の上限引き上げを発表しました。今年度は保険料の上限が106万円でしたが、次年度からは109万円になります。現状の限度額の内訳と、次年度からの限度額内訳を比較してみましょう。

【写真全3枚】1枚目/国民健康保険料の限度額内訳(2024年度・2025年度)、2枚目/令和7年度に賦課限度額を引き上げた場合の中間所得層の負担

国民健康保険料の限度額内訳(2024年度・2025年度)

出所:厚生労働省「国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について」をもとに筆者作成

〈今年度の限度額内訳〉

  • 医療分(基礎賦課分):65万円
  • 後期高齢者支援分:24万円
  • 介護分:17万円
  • 合計:106万円

〈次年度の限度額内訳〉

  • 医療分(基礎賦課分):66万円(+1万円)
  • 後期高齢者支援分:26万円(+2万円)
  • 介護分:17万円
  • 合計:109万円(+3万円)

40〜65歳が納める介護分は変動がありませんが、医療分は1万円、後期高齢者支援分は2万円の増加となりました。

国保の保険料は「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」の第4条第7項に基づき、持続可能な医療保険制度等を構築するためには保険料の上限を引き上げてよいこととなっています。

よって、次年度も今年度に続き上限を引き上げているのです。

保険料負担が増えるのは、単身世帯で年収1170万円以上の人です。これは保険加入者の1.5%であり、ごく少数です。厚生労働省の試算では、上限を引き上げることで中間層の保険料負担は減るとされています。

令和7年度に賦課限度額を引き上げた場合の中間所得層の負担

令和7年度に賦課限度額を引き上げた場合の中間所得層の負担

出所:厚生労働省「国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について」

そのため、保険料の限度額引き上げが必ずしも多くの人にネガティブな話題ではないことをおさえておきましょう。

とはいえ、保険料の支払いが苦しいという人もいるでしょう。保険料の支払いができなくなった場合の対処法について、次章で解説します。