今年も2カ月を切りましたが、もうすぐ賞与の時期ですね。皆さんは、賞与の使い道はもう決めましたか?
受け取る賞与の多くを、貯金にまわす人も多いでしょう。
貯金と言えば、使い道に分けて整理しておくとよいといわれていますね。
短期貯金(日々出入りするお金)・中期貯金(使途が決まっているお金)・長期貯金(しばらく手を付けないお金)の3つです。
特に最近では長期預金に関して、老後を心配してご相談に来られる方も多いです。
筆者は個人向け資産運用、保険の見直しのコンサルティング業務を行っていますが、「老後に向けてお金を貯めたいけど、今の生活費もどうすればいいのかわからない」という方がほとんど。
具体的には、老後資金とお子様の教育資金をどのようにつくっていくかなどです。
教育資金はお子様がいれば必要不可欠となる資金のため準備は必須ですが、老後資金づくりが遅れてしまうと自分の将来使えるお金の準備ができなくなってしまいます。
一体いくらの資金を準備すれば、私たちは安心できるのでしょうか。
今回は同じ世帯年収の家庭ではどれほど貯蓄があるのかを知るために、「世帯年収600万円台」の家族の貯蓄事情について見ていきたいと思います。
記事の後半では老後の資産の準備についても記載しますので、ぜひチェックしてみてください。
1. 日本の平均年収は長期にわたり「400万円台」を推移
国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」によれば、日本の平均給与は長期間にわたり400万円台で推移しています。
しかし、過去10年を振り返ると、若干の上昇傾向が見られることがわかります。
1.1 日本における平均給与の推移
- 2014年:421万円
- 2015年:423万円
- 2016年:425万円
- 2017年:434万円
- 2018年:439万円
- 2019年:438万円
- 2020年:435万円
- 2021年:446万円
- 2022年:458万円
- 2023年:460万円
物価の上昇が続く中で、生活が厳しいと感じる世帯も少なくないでしょう。
では、「世帯年収」に注目してみると、増加傾向は見られるのでしょうか。
1.2 【減少傾向】日本の世帯年収の平均はいくら?
厚生労働省の「国民生活基礎調査」に基づき、所得金額階級別世帯数の推移を見てみましょう。
2002年の平均所得額は602万円でしたが、2022年には545万7000円となり、過去20年で平均所得が約56万円減少したことがわかります。
なお、2002年における個人の平均年収は448万円でしたが、同じく厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、2021年の「児童のいる世帯」の雇用者所得平均は689万7000円でした。
※ここで言う「雇用者所得」とは、「世帯員が勤務先から支払われた給料・賃金・賞与の合計金額」であり、税金や社会保険料も含まれると定義されています。
上記から、令和時代において、子どもがいる世帯では「世帯年収600万円台」が一般的な水準になっていると言えるでしょう。
では、現状の「世帯年収600万円台」を持つ二人以上世帯の生活はどのようなものなのでしょうか。
2. 「世帯年収600万円台」の生活実態は?
ここからは総務省の資料を基に、「年収600万円台世帯」の家計状況を見ていきます。
同資料をもとに、「年収600~650万円」と「年収650~700万円」に分けて、それぞれの特徴を確認していきましょう。
2.1 【世帯年収600~650万円】二人以上世帯の生活実態
- 世帯主の年齢:54.2歳
- 世帯人員:3.09人(うち18歳未満:0.71人)
- 女性の有業率:55.6%
- 持ち家率:86.5%
- 平均年収:621万円
年収600~650万円の世帯主の平均年齢は54.2歳、女性の有業率は55.6%で、共働き世帯が半数以上であることがわかります。
また、片働きで「年収600万円」に到達している世帯は44.4%で、家族の人数は平均して3人以上となっており、そのうち、0.71人が18歳未満の子どもです。
18歳未満の子どもが1人以上いる世帯では、今後の教育費に対する備えが必要であることがうかがえます。
2.2 【世帯年収650~700万円】二人以上世帯の生活実態
- 世帯主の年齢:53.1歳
- 世帯人員:3.20人(うち18歳未満:0.82人)
- 女性の有業率:51.9%
- 持ち家率:83.8%
- 平均年収:672万円
世帯年収650~700万円の世帯主の平均年齢は53.1歳となり、先ほどの年収600~650万円世帯よりも若干低くなっており、要因の一つとして「役職定年」が考えられるでしょう。
また、女性の有業率は51.9%に下がり、共働き世帯の割合がやや減少しています。
18歳未満の子どもは平均で0.82人となっており、教育費がさらに増える可能性のある世帯が含まれていることがわかります。
次章では、本題である「世帯年収ごとの貯蓄額」を確認していきましょう。
3. 【気になる負債額も】世帯年収600万円台世帯の「平均貯蓄」はいくら?
ここからは、世帯年収600万円台世帯の貯蓄額について見ていきます。
なお、負債を抱えている場合、純貯蓄額に影響を及ぼすため、負債額についてもあわせて確認することが重要です。
3.1 【世帯年収600~650万円】二人以上世帯の貯蓄額・負債額
平均貯蓄額:1517万円
〈内訳〉
- 金融機関:1498万円
- うち通貨性預貯金:531万円
- うち定期性預貯金:448万円
- うち生命保険など:291万円
- うち有価証券:228万円
- 金融機関外:19万円
平均負債額:745万円(うち、住宅・土地のための負債は689万円)
3.2 【世帯年収650~700万円】二人以上世帯の貯蓄額・負債額
平均貯蓄額:1780万円
〈内訳〉
- 金融機関:1732万円
- うち通貨性預貯金:576万円
- うち定期性預貯金:428万円
- うち生命保険など:384万円
- うち有価証券:344万円
- 金融機関外:48万円
平均負債額:949万円(うち、住宅・土地のための負債は827万円)
どちらの世帯も貯蓄額は1500万円を超えており、年収の倍以上の資産を保有していると言えます。
一方で負債額も多く、実際の「貯蓄-負債=純資産額」は、年収600~650万円世帯で772万円、年収650~700万円世帯で831万円となっています。
なお、負債の多くは、住宅や土地のためのローンが占めていることがわかります。
これから教育費がかさむ世帯が多くなることが予想されますが、どのように資産形成を進めるのが効率的なのでしょうか。
次章では、お金のプロが今後の資産形成について解説し、実践的なアドバイスをお伝えします。
4. 資産形成で重要なのは「分散」
最近では貯蓄だけでなく、資産運用を取り入れる家庭が増えてきており、NISAやiDeCoなどの制度も身近になったことから、まずは始めてみたという方も多いでしょう。
しかし、実際に相談を受けると、運用を始めた理由が「なんとなく」と答える方が圧倒的に多いです。
たとえば、教育費を貯めたいという方に「なぜ教育費を貯めようと思ったのですか?」と尋ねると、「子どもに迷惑をかけさせたくないから」と答える方が多数です。
しかし、教育費をしっかり貯めても、老後資金が全く手つかずの家庭も少なくありません。
老後資金は、教育費とは違ってローンを組むことができないため、早期からの備えが必要です。
大事なのは、「貯蓄・運用の目的」を明確にすることです。
その目的を達成するためには、どのようにお金を貯め、運用するかを見直すことが重要です。
つまり、目先の目標だけでなく、「ライフプラン全体を考慮して資産を計画的に分けていくこと」が求められます。
貯蓄の目的は「教育費」のような一極集中ではなく、「老後資金」や「住宅ローンの繰り上げ返済」など、複数に分散して計画的に備えることが鍵と言えるでしょう。
5. 資産形成のキーワードは「分散」
最近では、単純な貯蓄だけでなく、資産運用を取り入れている家庭もあるでしょう。
例えばNISAやiDeCoなど、小額からでも投資ができる方法として注目されています。
毎月の積立が可能で、税金面でも優遇されている部分があるため効率的にお金を増やしたいと考えている人には、適切な選択肢のひとつでしょう。
ただ、これらの投資信託を使った運用は、元本保証のないものが基本です。
増えるからと持っているお金をすべて投資してしまうと、暴落が起きたときにご自身の資産がすべて返ってこないリスクが潜んでいます。
そのため、ポイントとなるのは分散。リスクのない貯金と効率的に増える運用を活かし、バランスよく長期貯金ができると安心ですよね。
人によって適した運用方法はさまざまです。この機会に、ぜひ一度ご自身に合った方法をチェックしてみてはいかがでしょうか。





