所得が一定以下の世帯は「住民税非課税世帯」に該当します。
住民税非課税世帯に該当すると、社会保険料の減免や医療費負担の軽減など、さまざまな支援を受けられます。
今回は、住民税非課税世帯に該当する要件や年代別の割合、年金受給世帯の生活感などを解説します。
1. 住民税非課税世帯に該当する要件
東京都を例に、住民税非課税になる世帯の要件を見てみましょう。
1.1 【所得割・均等割とも非課税】
- 生活保護法による生活扶助を受けている方
- 障害者・未成年者・寡婦又はひとり親で、前年中の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4000円未満)の方
- 前年中の合計所得金額が区市町村の条例で定める額以下の方
なお、東京23区内における「合計所得金額が区市町村の条例で定める額」は以下のとおりです。
- 同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合:35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下
- 同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合:45万円以下
1.2 【所得割が非課税】
- 同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合:35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+42万円以下
- 同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合:45万円以下
当年ではなく、前年度の所得に基づいて判断する点に留意しましょう。
たとえば、前年に定年退職して今年は働いていないという方でも、前年の所得が一定以上あると住民税非課税世帯には該当しません。
2. 年代別の住民税非課税世帯に該当する割合
厚生労働省の「令和5年国民生活基礎調査」を参考に、住民税非課税世帯の割合を年代別に見てみましょう。
- 30歳代:12.0%
- 40歳代:10.0%
- 50歳代:13.6%
- 60歳代:21.7%
- 70歳代:35.9%
- 80歳代:52.5%
年代が上がるごとに、住民税非課税世帯に該当する割合が高まっています。
70歳代は約3世帯に1世帯以上、80歳代は2世帯に1世帯以上が住民税非課税世帯に該当しているようです。
住民税非課税世帯に該当するかどうかは所得に基づいて決定するため、資産状況は加味されていません。
そのため、一概に「高齢になるほど生活が苦しくなる」というわけではありません。
続いて、高齢者世帯のリアルな生活感を見てみましょう。
3. 高齢者世帯の生活感と必要な貯蓄額の計算方法
厚生労働省の「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、生活意識について「大変苦しい」「やや苦しい」と回答した高齢者世帯の割合が59%でした。
- 大変苦しい:26.4%(前回18.1%)
- やや苦しい:32.6%(前回30.2%)
- 普通:36.7%(前回45.1%)
- ややゆとりがある:3.9%(前回2.5%)
- 大変ゆとりがある:0.4%(前回0.8%)
また、総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の世帯では毎月約3万円の赤字が発生している状況です。
あくまでも平均的なデータで、統計の結果は毎年変わるとはいえ、参考としてイメージしておくとよいでしょう。
「老後生活では毎月3万~5万円の赤字が発生する」と想定する場合、毎年36万~60万円の取り崩しが必要になる、とイメージできます。
老後の期間を30年間と仮定する場合、リタイア時の貯蓄として1080万~1800万円程度の資産を形成する必要がある、と逆算できるでしょう。
4. 70歳代の貯蓄データ
金融広報中央委員会の資料によると、70歳代で単身世帯の貯蓄額は以下のとおりです。
4.1 【単身世帯】
- 金融資産非保有:26.7%
- 100万円未満:5.8%
- 100~200万円未満:4.3%
- 200~300万円未満:4.1%
- 300~400万円未満:3.3%
- 400~500万円未満:2.5%
- 500~700万円未満:6.6%
- 700~1000万円未満:5.1%
- 1000~1500万円未満:8.6%
- 1500~2000万円未満:5.3%
- 2000~3000万円未満:8.2%
- 3000万円以上:17.3%
- 平均:1529万円
- 中央値:500万円
4.2 【二人以上世帯】
- 金融資産非保有:19.2%
- 100万円未満:5.6%
- 100~200万円未満:5.1%
- 200~300万円未満:4.3%
- 300~400万円未満:4.7%
- 400~500万円未満:2.5%
- 500~700万円未満:6.2%
- 700~1000万円未満:5.8%
- 1000~1500万円未満:10.2%
- 1500~2000万円未満:6.6%
- 2000~3000万円未満:7.4%
- 3000万円以上:19.7%
- 平均:1757万円
- 中央値:700万円
中央値で見ると、単身世帯の貯蓄は500万円、二人以上世帯の貯蓄は700万円となっており、人によっては十分な貯蓄額とはいえない状況です。
計画的に老後資産を用意するためには、現役の頃から計画的な資産運用と貯蓄を行うこと、支出を最適化することが欠かせません。
高齢になるほど就労が難しくなり、年金以外で収入を得るのが難しくなるため、より支出を最適化する意識を持つことが重要となるでしょう。
5. まとめにかえて
60歳代以降は、高齢になるほど住民税非課税世帯に該当する割合が高まります。統計上、高齢者世帯は毎月3万円の赤字が発生しています。
経済的な安心を得るためには、早い段階から資産形成に取り組みつつ、支出を最適化することが大切です。
参考資料
- 東京都主税局「個人住民税」
- 厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」
- 厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」
柴田 充輝