「今の高齢者よりも自分の高齢期の生活の方が悪くなっている」と6割が懸念
2018年のサラリーマン1万人アンケートで、自分の退職後の生活が、今の高齢者と比べてどうなると思うかを聞くと、「どちらかといえば悪くなる」と「悪くなる」の回答を合計した比率は61.2%に達しました。「どちらかといえばよくなる」「よくなる」の合計8.4%、「変わらない」13.5%と比べると、その比率の高さが際立っています。
その背景には、生活費の不足を懸念していることが挙げられます。別な設問で、退職後の生活で最も心配していることを尋ねると、52.2%が「退職後の生活費の不安」と回答しています。2番目に挙げたのが「自分や家族の健康」ですが、わずか13.3%にすぎませんから、非常に多くの人が「生活費の不安」を抱えていることがわかります。
医療費・介護費の懸念が大きい
具体的になぜ生活費の不安が大きいのかを知るために、退職後の生活のなかで最も大きな支出、制約となるものは何かを複数回答で聞いています。結果は、60.2%が「医療費」と答え、次が29.1%の「食費」、27.3%の「税金・社会保険料」、26.9%の「介護費」となっています。
医療費がダントツであること、また介護費も別に第4番目に入っていることからすると、健康管理のコストがかなりかかると懸念している姿がみえてきます。
ここで注意しなければならないのが、これら4つの懸念される主要コストは、「食費」以外、なかなか自分ではコントロールできないものだということです。
前回の記事『年収の高い人は退職後の生活にどんなイメージを持っているのか』で指摘した通り、44.3%の人が「のんびり・マイペース」な生活を望んでいますが、これを達成するためにはコストの削減だけでは難しいということになりますから、やはり事前に十分な資金を用意せざるを得ないといえます。
改めて、退職後の生活コストの削減は思っているほど簡単にはできないということを理解する必要があります。なお、こうした傾向は2016年のアンケート調査でも明示されており、今後もなかなか変わらないものだろうと思われます。
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合同会社フィンウェル研究所代表 野尻 哲史