過去6回分のサラリーマン1万人アンケート定点観測
2018年4月、会社員と公務員12,010人に回答をいただき、「サラリーマン1万人アンケート」を実施しました。第1回の2010年から数えて第5回目となり、また2014年の「勤労者3万人アンケート」から当該条件に合わせて抽出した2万人アンケートも加えると、6回分のデータが揃い、アベノミクス相場の始まる前からのトレンドを見ることができる貴重なデータとなっています。
今回から複数回にわたって、このアンケート調査をもとにした分析結果をまとめていくことにします。詳細なデータはすでに「退職準備が進捗しないなか、若年層の投資に変化の兆し—非課税制度拡充の効果」と題して発表しておりますので、合わせてご参照ください。
年収で変化する「退職後の生活イメージ」
アンケート回答者の属性分布は、過去ほとんど変わっていません。おおむね男性が6割、女性が4割、年齢も10歳刻みにするとほぼ20-30%ずつとなっています。所得帯別には300万円未満が2割強、300-500万円層が3割強、500-700万円未満層が2割弱で、これらを合計すると全体の4分の3程度を占めます。
退職後の生活のイメージを6つの選択肢で選んでもらう設問では、「のんびり・マイペース」が44.3%と最も多い回答となりました。ただ、2010年の51.7%から徐々に低下している傾向が続いています。
ほかの選択肢は「ほそぼそ・質素」18.9%、「明るく・楽しい」12.3%、「つらく・不安」7.8%、「いきいき・はつらつ」7.5%、そして「いずれも該当しない」9.3%となっており、「のんびり・マイペース」がダントツの退職後の生活イメージといえます。
ただ、注目をしたいのは、このデータを年収帯別に見ると、顕著な傾向が出ていることです。性別、年代別にほとんど数値に変化がないにも関わらず、これを年収帯別に分析しなおすと、年収の高い人ほど「いきいき・はつらつ」を指向することがわかります。
逆に減っていくのは「ほそぼそ・質素」「つらく・不安」の2つです。ちなみに「のんびり・マイペース」も年収500-700万円層までは増えていきますが、そこからは頭打ちになっています。
年収の高い層とのコミュニケーションでは「いきいき・はつらつ」といった言葉が重要と言えそうです。
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合同会社フィンウェル研究所代表 野尻 哲史