4. 【70歳代】夫婦世帯の平均貯蓄額はいくら?中央値に注目
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」によると、70歳代・二人以上世帯の貯蓄額(金融資産を保有していない世帯を含む)以下のとおりです。
※金融資産保有額には預貯金以外に株式や投資信託、生命保険なども含まれます。
4.1 70歳代・二人以上世帯の貯蓄額 円グラフ
4.2 【70歳代・二人以上世帯の貯蓄額】平均と中央値
- 平均:1757万円
- 中央値:700万円
4.3 【70歳代・二人以上世帯の貯蓄額一覧表】(金融資産を保有していない世帯を含む)
- 金融資産非保有:19.2%
- 100万円未満:5.6%
- 100~200万円未満:5.1%
- 200~300万円未満:4.3%
- 300~400万円未満:4.7%
- 400~500万円未満:2.5%
- 500~700万円未満:6.2%
- 700~1000万円未満:5.8%
- 1000~1500万円未満:10.2%
- 1500~2000万円未満:6.6%
- 2000~3000万円未満:7.4%
- 3000万円以上:19.7%
70歳代・二人以上世帯の平均は1757万円。夫婦の老後資金の目安の一つともされる「2000万円」のラインは下回っています。
ちなみに平均値は一部の極端な値(外れ値)の影響を受けやすく、今回であればいわゆる”お金持ち層”によって引き上げられているため、実態を表しているとは言いにくいです。
そこで目を向けたいのが、外れ値の影響を受けない中央値(※)。今回、貯蓄がない世帯をのぞいた「貯蓄保有世帯の中央値」を見ると700万円にまで下がります。
また「貯蓄がない世帯」と「貯蓄3000万円以上の世帯」がそれぞれ約2割を占める、いわば二極化傾向がある点も看過できないと言えそうです。
働き盛りの現役世代が「いまからできること」はたくさんあるでしょう。その中の基本となるのが、将来の年金見込み額を把握し、バランスのとれた家計管理をおこない、コツコツと資産づくりを進めていく、それぞれのステップとなりそうです。
(※)データを昇順(または降順)に並べたときに真ん中にくる値。
5. まとめにかえて
本記事では、年金受給世帯の現状を通して、老後資金の準備について考えてきました。
老後生活を年金だけで支えるのは年々難しくなっています。そのため、現役世代にとっては、年金に加えてプラスアルファの資金を用意することが重要です。
多くの方が現預金を中心に資金を蓄えているかもしれません。現預金は流動性が高く、緊急時の備えとして優れた手段です。しかし、近年のインフレの影響で、物価は毎年約2%のペースで上昇しています。これにより、お金の価値が目減りしていく状況が続いています。現預金だけではこの物価上昇に対応しきれないため、資産運用を取り入れる必要性が高まっています。
インフレ社会において資産運用を始める方が増えているのも、こうした背景が影響しているといえます。資産運用をする際には、「分散」を意識することが重要です。例えば、投資のタイミングや地域、資産の種類を分けてリスクを分散することで、安定した運用が可能になります。すでに資産運用を始めている方も、今一度ご自身のポートフォリオを確認することをおすすめします。
老後資金を計画的に準備することで、安心でゆとりのある老後生活が実現できます。この機会に、資産運用について考え、行動に移してみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」
- 企業年金連合会「第一号厚生年金被保険者」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」
堀江 啓介