年末調整の時期が近づいてきました。この時期、ファイナンシャルアドバイザーである筆者の元にもお客様から年末調整についてのご相談が増えています。先日も「生命保険料控除」に関するご質問をいただきました。
近年の物価上昇などで家計の負担が増える中、少しでも節税に繋がる方法があるのは助かりますよね。こうした節税効果を活用することで、家計に余裕を生み出すきっかけとなります。
一方で、お金に対する不安や悩みは年々増えている印象があります。その中でも特に多いご相談が「老後資金」に関するものです。老後資金の柱となるのは、公的年金です。
本記事では、老後資金の柱である年金について深掘りしていきます。シニア世代の年金受給世帯がどのような生活をしているのか、そのリアルを知ることで、これからの老後資金準備のヒントを探っていきましょう。
1. 老齢年金受給世帯の約6割に「年金以外の収入がある」という事実
公的年金だけで生活するシニア世帯はどのくらいいるのでしょうか?厚生労働省が2024年7月に公表した「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」を見てみましょう。
1.1 公的年金・恩給の総所得に占める割合別世帯数の構成割合
同調査結果によると、総所得に占める公的年金・恩給の割合が100%の高齢者世帯は41.7%。老齢年金を受給中の世帯のうち約6割に、年金以外の収入源があることが分かります。
働き続ける人、家賃収入や配当などの不労所得がある人、子どもからの仕送りがある人など様々でしょう。物価上昇が止まらぬいま、公的年金だけで暮らしていくことを難しいと感じる人は決して少数派ではないことが考えられますね。
働き盛りの現役世代の中には、リタイアまでの貯蓄計画をしっかり練る、家計管理のスキルを磨く、民間の個人年金保険で備えるなど、さまざまな対策をおこなっている人もいるでしょう。
そこで気になるのが、いまのシニア世代は毎月どの程度の公的年金を受け取っているのかということ。
公的年金の年金額は、物価や現役世代の賃金を考慮して年度ごとに見直しがおこなわれます。いまの年金水準がこのままずっと続くとは限りません。とはいえ、今のシニア世代の年金事情を知ることは、現役世代がリタイア後の暮らしをイメージするヒントの一つにはなるでしょう。
そこで次では、厚生年金・国民年金の年金月額データを見ていきます。