「野菜やお米の値段が高くて、どうしても食費が高くなってしまいます...」FPである筆者が、最近ご相談者からよく聞く世間話の一つです。
物価上昇を肌で感じる今日この頃。実際にはどの程度、上昇しているのでしょうか。
2024年10月18日に総務省が公表した「2020年基準消費者物価指数全国2024年(令和6年)10月分」によると、「2020年の物価指数を100としたとき、2024年10月の物価指数は109.5」でした。つまり、4年間で約10%も物価が上昇しているということになります。
物価上昇率を上回るペースで収入が増えれば問題ありませんが、そうはいきません。特に老齢年金を受け取り始めてしまうと、自分の力で年金額を増やすことはできないため、年金収入だけで赤字になる場合は、働いて収入を得たり、貯蓄を取り崩したりして補填しなくてはいけなくなります。
現役世代の人たちはこうしたリスクも想定して老後の資金計画を立てておく必要があるでしょう。
本記事では、年金暮らしをイメージするために現シニア世代の年金受給額をご紹介します。また、低年金者の生活を支援する目的で設けられた制度「年金生活者支援給付金」についても解説していきます。
1. 年間で「最大約6万円」が上乗せ支給される「年金生活者支援給付金」とは?
「年金生活者支援給付金」は、老齢年金・障害年金・遺族年金の受給者の中で、一定の要件を満たした人に支給される給付金です。
本記事では「老齢年金生活者支援給付金」について、支給要件や支給額を確認していきます。
1.1 「老齢年金生活者支援給付金」の支給要件を確認
「老齢年金生活者支援給付金」の支給要件は下記のとおりです。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額※1とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下※2
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
1.2 「老齢年金生活者支援給付金」の給付基準額はいくら?
2024年度の「老齢年金生活者支援給付金」の給付基準額は下記のとおりです。
老齢年金生活者支援給付金の基準額は月額5310円ですが、実際の支給額は現役時代の保険料納付期間によって異なります。
たとえば、国民年金保険料を全期間納めている場合、月額5310円、すなわち年額6万3720円の給付金が支給されます。
なお、この給付金は、老後に公的年金を含む収入が少ない人を対象に支給されますが、そもそも公的年金は月額でどのくらい受け取れるのが「普通」なのでしょうか。
次章では、国民年金と厚生年金の平均月額について詳しく見ていきましょう。