5. 早いうちからコツコツと資産を積み上げていくことが大切
ここまで、年金制度の仕組みやシニア世代が実際にどれくらいの年金を受け取っているのかを詳しく確認してきました。これを通じて、老後の生活がより具体的にイメージできるようになった方も多いのではないでしょうか。
現在の社会情勢を踏まえると、年金だけで老後を支えるのは難しい状況にあります。冒頭でも触れたように、物価の上昇が続く中、将来的にはより多くの老後資金が必要になる可能性があります。
老後資金の準備方法としては、やはり「資産運用」が挙げられます。2024年に入り「新NISA」がスタートしたことにより、資産運用に興味を持った方も多いのではないでしょうか。
新NISAは、投資で得た運用益が非課税になる仕組みであり、税制面で大きなメリットを受けられる制度です。これにより、これまで資産運用に消極的だった方も「まずはやってみよう」と始めるケースが増えています。
ただし、資産運用には元本割れなどのリスクもあります。現代は老後資金を形成するためのさまざまな制度や金融商品がありますが、まずはそれぞれのメリットやデメリットを理解したうえで始めるのがよいでしょう。
これらをうまく活用することで、より効率的に老後資金を準備することが可能です。
老後の生活を安心して送るためには、早い段階から自分に合った方法を選び、コツコツと資産を積み上げていくことが重要です。将来の自分を支える「自分年金」をつくるために、いまできることから始めてみてはいかがでしょうか。
6. 【ご参考】年金に関するよくある質問を解説
日本の公的年金制度は複雑で、多くの人がさまざまな疑問を抱えていることでしょう。ここでは、年金に関するよくある質問を取り上げ、その解答を解説します。
6.1 年金の主な種類と仕組み
日本の公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造になっています。
国民年金は日本国内に住む20歳以上60歳未満の全ての人が加入する基礎年金で、厚生年金は会社員や公務員が加入するものです。
国民年金は一定の保険料を納付し、将来の年金額が決まるのに対し、厚生年金は収入に応じた保険料を支払うため、将来の受給額にも差が出ます。
6.2 「繰下げ受給」とは?
受給額が1カ月につき0.7%増える「繰下げ受給」。これは、年金の受給開始年齢を遅らせることで増額するものです。例えば、65歳から受給を開始する予定を75歳0カ月まで繰り下げると、84%増額となり、長期間働くことができる人や、他の収入源がある人にとって有利な選択肢となります。
6.3 年金を増やす方法はある?
将来の受給額を増やす方法はいくつかあります。
自営業やフリーランスの方は、国民年金の付加保険料を支払ったり、厚生年金に加入する働き方に切り替えたりすることも一つの方法です。
参考資料
- 厚生労働省「生活設計と年金に関する世論調査(主な調査結果)」
- 厚生労働省「保険料(税)の特別徴収」
- 厚生労働省「介護保険制度の概要」
- 厚生労働省「高齢期における年金制度」2023年10月24日
- 豊中市「公的年金からの特別徴収額が10月から急に高くなったのはなぜですか」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
堀江 啓介