総務省が11月22日に発表した消費者物価指数(10月分)によると、生鮮食品を除く総合指数が前年同月に比べて2.3%上昇しました。
伸び率は依然として2%超であり、引き続き物価上昇の波は家計に大きな影響を及ぼすことが予想されます。
現役世代の方たちは給与収入が主な収入源となりますが、老後生活になると、主な収入源は公的年金となります。
今後も物価上昇の影響が大きくなっていった場合、私たちは年金だけで生活を続けていけるのでしょうか。
今回の記事では、60歳代・70歳代・80歳代の平均年金月額を見ていきます。今の収入と年金受給額を比較しながら、老後の生活をイメージしてみてください。
1. 国民年金と厚生年金【公的年金は2階建て】基本を整理!
私たちの暮らし、とりわけシニア世代にとって欠かせない「公的年金」の仕組みですが、意外と分かりにくい部分もありりますね。
「日本の公的年金制度は2階建て」と呼ばれるのは、国民年金と厚生年金という2つの年金制度から成り立つためです。
次でその基本を整理していきましょう。
1.1 国民年金(1階部分:基礎年金)
「2階建ての年金制度」の1階部分にあたるのは「国民年金」です。基礎年金とも呼ばれる年金制度のベース部分で、原則として日本に住む20歳から60歳未満の人が加入対象となります。
480カ月の全期間、年金保険料(※1)を納付した場合、老後に満額の国民年金(※2)を受け取ることができます。480カ月に満たない場合は、未納月数に応じて満額から減額されます。
※2024年度の月額
- ※1 国民年金保険料:1万6980円
- ※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:6万8000円
1.2 厚生年金(2階部分)
2階部分にあたる厚生年金の加入対象は、会社員や公務員、一定の条件で働くパート・アルバイトの人など。国民年金に上乗せして加入します。老後に受け取る年金も「国民年金+厚生年金」の2階建てです。
厚生年金の年金保険料は、給与や賞与に応じて決められ、給料・賞与からの天引きで納付します。上限額は設けられているものの、多く稼ぎ、長く働いた人ほど年金額が増えるしくみです。
また、厚生年金の被保険者は下記のように、第1号~第4号に区分されています(※)。
※厚生年金の被保険者区分
- 第1号:下記第2号~第4号以外の、民間の事業所に使用される人
- 第2号:国家公務員共済組合の組合員
- 第3号:地方公務員共済組合の組合員
- 第4号:私立学校教職員共済制度の加入者
次では、厚生労働省から公表された「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、国民年金と厚生年金の受給額事情を見ていきます。