9月の消費者物価指数が前年同月比で2.5%上昇したことが10月18日に発表されました。
物価が上がると、特に年金のみで生活している高齢者にとっては家計のやりくりが一層厳しくなります。
少ない収入で必要最低限の生活を確保するのは簡単ではありませんよね。
そこで今回取り上げるのが「年金生活者支援給付金」です。
この給付金は条件を満たした年金受給者が対象で、公的年金に加えて定期的に支給される支援策です。
2024年度には新たな対象者向けに9月に請求書が送付されており、スムーズに手続きを終えれば12月支給分から受け取ることができるでしょう。
この記事で、給付金の受給要件や手続き方法を詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。
1. 生活が厳しい年金世帯向け「年金生活者支援給付金」とは?種類ごとに解説
「年金生活者支援給付金」は、年金だけでは生活が厳しい方を支援するために設けられた制度で、年金に上乗せして支給されます。
年金生活者支援給付金には、受け取る年金の種類や所得によって異なるいくつかのタイプがあります。
具体的には、以下の3つの種類が存在します。
- 老齢年金生活者支援給付金
- 障害年金生活者支援給付金
- 遺族年金生活者支援給付金
制度創設時の試算によると、老齢年金生活者支援給付金を受け取る人は約610万人、障害年金や遺族年金の給付金を受け取る人も合わせて約200万人にのぼるとされており、多くの年金受給者がこの給付の対象となっています。
2. 「年金生活者支援給付金」の対象者はどんな人?要件を確認
では、具体的に誰が「年金生活者支援給付金」の対象になるのか、それぞれの要件を確認していきましょう。
2.1 老齢年金生活者支援給付金の要件
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下(※2)
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれない
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給
2.2 障害年金生活者支援給付金の要件
- 障害基礎年金の受給者
- 前年の所得(※1)が472万1000円(※2)以下
※1 障害年金等の非課税収入は、年金生活者支援給付金の判定に用いる所得には含まれません。
※2 扶養親族等の数に応じて増額
2.3 遺族年金生活者支援給付金の要件
- 遺族基礎年金の受給者
- 前年の所得(※1)が472万1000円(※2)以下
※1 遺族年金等の非課税収入は、年金生活者支援給付金の判定に用いる所得には含まれません。
※2 扶養親族等の数に応じて増額
続いて、2024年度における「年金生活者支援給付金」の支給額を見ていきましょう。
3. 【一覧表】2024年度「年金生活者支援給付金」支給額はいくら?前年よりも増えている?
年金生活者支援給付金の支給額は毎年度改定されますが、2024年度は3.2%の増額となっています。
3.1 老齢年金生活者支援給付金の給付基準額はいくら?
老齢年金生活者支援給付金の2024年度の月額基準は5310円です。
この金額はあくまで基準額であり、保険料の納付済期間や免除期間に応じて、最終的な給付額が決まります。
一例として、1956年(昭和31年)4月2日以降に生まれ、保険料を480カ月(満期)納付した場合は、5310円がそのまま支給されます。
3.2 障害年金生活者支援給付金の給付基準額はいくら?
- 障害等級2級:月額5310円
- 障害等級1級:月額6638円
3.3 遺族年金生活者支援給付金の給付基準額はいくら?
- 月額5310円
上記で提示した支給額は月額ですが、実際には2ヶ月ごとにまとめて振り込まれます。
年額に換算すると約6万円が支給され、これは家計にとって大きな支えとなる金額です。
4. 年金生活者支援給付金は「申請が必要」申請をしないと1円も受け取れない
年金生活者支援給付金は、年金を受給しているだけで対象者に自動的に支給されるわけではありません。
この給付金を受け取るためには、申請を行う必要があります。
では、具体的にどのように申請を行うのでしょうか。
本章では「これから年金を受け取る予定の方」と「すでに受給している方」それぞれの手続き方法について詳しく説明します。
4.1 これから新たに「年金を請求する人」の場合
もしあなたがこれから65歳を迎える場合、誕生日の約3ヶ月前に「老齢基礎年金の請求書」と一緒に給付金の請求書が送付されます。
この書類が届いた際には、必要事項を記入し、年金の請求書とともに提出するだけで手続きは完了します。
4.2 すでに「年金を受け取っている人」の場合
すでに年金を受給している方でも、最近収入が減少したといった場合に給付金の対象となることがあります。
この場合、毎年9月1日以降に「年金生活者支援給付金の請求書(はがき型)」が送付されます。
請求書が届いた場合は、太枠内に必要事項を記入し、ポストに投函するだけで手続きが完了します。
ただし、繰上げ受給をしている方は、書類の内容が異なる場合があるため、注意が必要です。
一度手続きを行えば、毎年の更新手続きは原則不要で、前年の所得をもとに自動的に給付が決定されます。
次に、現在のシニアが受け取っている年金収入の状況について見ていきましょう。
5. 「国民年金・厚生年金」今のシニアはどのくらいもらえている?
厚生労働省の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に、「国民年金・厚生年金」それぞれの平均月額を確認していきましょう。
5.1 厚生年金の平均月額はいくら?
- 〈全体〉平均年金月額:14万3973円
- 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
- 〈女性〉平均年金月額:10万4878円
※国民年金の金額を含む
- 1万円未満:6万1358人
- 1万円以上~2万円未満:1万5728人
- 2万円以上~3万円未満:5万4921人
- 3万円以上~4万円未満:9万5172人
- 4万円以上~5万円未満:10万2402人
- 5万円以上~6万円未満:15万2773人
- 6万円以上~7万円未満:41万1749人
- 7万円以上~8万円未満:68万7473人
- 8万円以上~9万円未満:92万8511人
- 9万円以上~10万円未満:112万3972人
- 10万円以上~11万円未満:112万7493人
- 11万円以上~12万円未満:103万4254人
- 12万円以上~13万円未満:94万5662人
- 13万円以上~14万円未満:92万5503人
- 14万円以上~15万円未満:95万3156人
- 15万円以上~16万円未満:99万4044人
- 16万円以上~17万円未満:104万730人
- 17万円以上~18万円未満:105万8410人
- 18万円以上~19万円未満:101万554人
- 19万円以上~20万円未満:90万9998人
- 20万円以上~21万円未満:75万9086人
- 21万円以上~22万円未満:56万9206人
- 22万円以上~23万円未満:38万3582人
- 23万円以上~24万円未満:25万3529人
- 24万円以上~25万円未満:16万6281人
- 25万円以上~26万円未満:10万2291人
- 26万円以上~27万円未満:5万9766人
- 27万円以上~28万円未満:3万3463人
- 28万円以上~29万円未満:1万5793人
- 29万円以上~30万円未満:7351人
- 30万円以上~:1万2490人
5.2 国民年金の平均月額はいくら?
- 〈全体〉平均年金月額:5万6316円
- 〈男性〉平均年金月額:5万8798円
- 〈女性〉平均年金月額:5万4426円
- 1万円未満:6万5660人
- 1万円以上~2万円未満:27万4330人
- 2万円以上~3万円未満:88万1065人
- 3万円以上~4万円未満:266万1520人
- 4万円以上~5万円未満:465万5774人
- 5万円以上~6万円未満:824万6178人
- 6万円以上~7万円未満:1484万7491人
- 7万円以上~:178万3609人
上記の調査結果をみると、「年金の平均額」と「ボリュームゾーン」は必ずしも一致していません。
年金額は、現役時代の収入や加入期間によって大きく異なるため、高い年金を受け取っている人もいれば、生活が困難な人も存在します。
とはいえ、どれだけ年金が多くても、老後には現役時代に比べて収入が大幅に減少するという問題は、誰にとっても共通の悩みと言えるでしょう。
そのため、年金に頼るだけでなく、現役時のうちに、貯蓄や投資、他の収入源についても考えておくことが重要です。
6. まとめにかえて
今回は「年金生活者支援給付金」の受給要件や厚生年金、国民年金についても触れてきました。
冒頭にお伝えしたインフレも加味して考えていくと年金だけに頼った老後生活はかなり苦しい生活になりそうです。
貯金のみで準備するのも金利と物価上昇率と比較するとそれも難しいでしょう。ですので、貯金以外の方法も取り入れる必要が出てきます。
以前は個人年金保険や終身保険を使いながら運用する人が多かったのですが、現在はNISAやiDeCoといった制度も活用して株や投資信託を積極的に使って運用する人も増えてきました。
どちらが良いかは、運用する期間やそれぞれの家計によっても変わります。リスクもそれぞれ違いますので、考え方の違いによっても選び方が変わってきます。
何が合っているかがわからない場合は専門家に相談するのも1つの方法です。
少額でも早めに準備を始めましょう。
7. 【ご参考】年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説
「年金って難しそう…」と感じている人は、多いのではないでしょうか。でも、基本のポイントを押さえると、意外とシンプルなのです。ここでは、年金についてよくある疑問について、わかりやすくお答えしていきます。
7.1 年金の仕組みってどうなってるの?
まず、日本の公的年金は「2階建て」構造です。下の階が「国民年金」、その上に「厚生年金」があるイメージです。
国民年金
国民年金は、20歳から60歳未満の全員が加入対象。特に自営業やフリーランスの方がメインです。
毎月決まった金額を支払います。いわば、年金の基礎部分です。
厚生年金
厚生年金は、会社員や公務員の方が加入対象です。こちらは収入に応じて保険料が変わるので、もらえる年金額も収入の影響が大きくなってきます。
そのため、個人差が出やすくなっています。
7.2 「繰下げ受給」って実際どうなの?
通常、年金は65歳からもらうものですが、「まだ働けるし、今すぐ必要じゃない」という方には「繰下げ受給」という選択肢があります。簡単に言うと、年金の受け取りを後回しにして、もらう額を増やす方法です。
たとえば、65歳で受け取る予定を75歳まで繰り下げると、年金額が84%も増えるんです。
もし健康で他にも収入源があるなら、繰下げ受給を検討してみる価値は十分にあるでしょう。
7.3 年金や老後資金をもっと増やすには?
繰下げ受給以外にも、年金や老後資金を増やす手段はいくつかあります。
国民年金の付加保険料を払う
自営業やフリーランスの方は、少し追加で保険料を払うことで、将来もらえる年金額をアップできます。
厚生年金に加入する
もし可能なら、厚生年金に加入するのも手です。もし国民年金だけに加入していた場合、会社員になったり、厚生年金が適用されるような働き方を選ぶと、年金額が増えます。
資産運用に挑戦
iDeCo(個人型確定拠出年金)や投資信託での資産運用も有効です。
ただし、これは場合によっては元本割れのリスクもあるので、まずはしっかり調べてからスタートするのが大事。お金の増やし方も「焦らずじっくり」がポイントです。
これで、年金の仕組みが少しクリアになったでしょうか?
ちょっとずつでも理解を深めていくと、老後への不安が少しずつ減っていきますよ。将来に向けて、一緒に準備を始めていきましょう。





